今年のクリスマスプレゼント企画は、日ごろの感謝を込めて
note未公開記事の期間限定公開(2024.12.25.PM11:59まで)とさせていただきます。
みなさんは大切な人に、あるいは大切な自分に何をプレゼントされましたか?
今年もこのブログにご訪問いただき、ありがとうございました。
来年もお付き合いいただければ幸いです。
それでは、よいクリスマスを!
【コラム】「時空思考-未来創造型イノベーションに向けての一考察」(note 有料記事)
もくじ
1. 時空思考とは
2. 「イノベーション」とは?
3. 未来を予測するヒント
4. 過去が予測した現在
5. まとめ
この記事は、私がこれまでブログ「ブレイクスルー放課後図書室~Creative mind~」で
ご紹介した本や、資料、動画、講演会で聞いたお話などを基に、
「時空思考」という視点で私なりの「イノベーション」のアイデアを提案しました。
「煮詰まったときに」読んでいただきたい記事です。
1. 時空思考とは
みなさんは、「未来思考」をご存知でしょうか?
私の場合は友人から聞いたことがある程度で、よくわかっておりません。
ネットで調べてみたところ、下記のような説明が書かれていました。
「未来思考とは、物事を考える視点を10年以上先の未来に置き、
不確実で多様な可能性を持つ未来を前提にして現在を客観視することに
よって、新たな気付きを得て、今起こしたいアクションを決める思考方法」
であると。
(heeps//www.jri.co.jp>corner81より)
本稿では、この考え方をヒントに、視点を未来から現在だけでなく過去から現在も含めて拡張して、過去、現在、未来を行き来する思考、本稿では仮に「時空思考」(筆者による造語)と名付けて、「イノベーション」とは何か、改めて考えてみたいと思います。
※時空とは
「時間と空間を合わせて表現する物理用語」(Wikipediaより)
2. 「イノベーション」とは何か?
一般的に、「イノベーション」は、シュンペーター(Schumpeter)の以下の定義が引用されています。
「新規の、もしくは、既存の知識、資源、設備などの新しい結合」
(『イノベーション・マネジメント入門』p.2より)
もっとも「イノベーション」は、これまで読んだ本から総合して考えるに、
多面的な側面を持っているようです。
本稿では、「時空思考」を用いて、「未来創造型イノベーション」の実現に
向けての一考察をしたいと思います。
(以下 非公開部分)
これまで私が読んだ本や、落合陽一さんの講演を聞いたりした結果、次のような見解を得ることができました。
「時空思考」で「イノベーション」を定義するとしたら
(ア) 未来では当たり前になっている「モノ・コト」が、現在にとっては
「イノベーション」ととらえることができるのではないか。
(イ) 反対に、現在では当たり前になっている「モノ・コト」が、
過去から見ると「イノベーション」だととらえることができるのではないか。
そうすると、現在の私たちが「未来はこれが当たり前になっているだろう」と想像し、実際にそれを実現すれば、それが「イノベーション」だと呼べるのではないでしょうか?
これを実現するためには、必ずしも新しい技術が必要なわけではないはずです。
既存の技術であっても、解決する課題が新しければ「イノベーション」になるのだと、過去に読んだ文献から、そう理解しております。
では、どのようにして「未来はこうなっているだろう」と予測することができるのでしょうか?
次章ではそのヒントを与えてくれる書籍をご紹介したいと思います。
3. 未来を予測するヒント
どうすれば「未来を予測できるのか」?
本章では、そのヒントとなる本をご紹介しながら、どうすれば未来を
予測する力を身に着けることができるのかを探ることにしましょう。
① 『クオンタム思考』(村上憲郎 著)
本書の紹介記事は、私のブログ「ブレイクスルーの放課後図書室」を
参照してください。
ブログ記事にも書きましたが、Googleをはじめとする世界の天才と称される
トップクリエーターたちは、著者が名付けた「クオンタム思考」というものを使いこなしているのではないかと言われています。
「クオンタム思考」とは、「日常感覚を飛び越えたような比類なき思考」だと定義されています(p.16)。
そのような、非日常的な思考を、わたしたちはどうすれば習得できるのでしょうか?
本書を読み進めると、そのヒントが次々と書かれています。
なかでも「量子力学」の知識を得ることが、今後とても強い武器になりそうです。
理系だけでなく、文系の皆さんもわかりやすい本や動画などから知識を得る方が良さそうです。
ここで、私なりに補足すると非日常的な感覚は、知識だけでなく、非日常的な経験をすることや、映画、ゲームなどでも疑似体験できるのではないかと思います。
「そんなこと起こるわけない」とか「そんな話、実現できるわけない」という先入観をひとまず休憩させて、「こんなことが起きたらどうなるだろう」とか「これが実現出来たらおもしろいな」というワクワクする発想ができるようになることが大事なのではないかと思います。
要するに「子ども」の視点、「子どもの発想」が大事なのではないでしょうか。
子どもたちは、「未来を創る将来の大人」です。子どもたちそのものが「未来」なのかもしれません。
小さなお子さんと身近に接する機会がある方は、是非子どもたちがどんな空想をしているのか、どんな未来を想像しているのか、ゆっくり耳を傾けてあげると、何かヒントが見つかるかもしれませんね。
最近、『ドラえもんの最新秘ひみつ道具辞典』を買いました。
子どものころ、大好きで「ひみつ道具辞典」を何度も繰り返し読みました。
これから、本気で読んでみようと思います。
「何をバカげたことを言っている!」と思わず吹き出された方もいらっしゃるかもしれませんが、いたって真剣です。
「バカげている」と思われるようなことこそ、実はとても価値があるのです。
ふつうの人が、あんなにたくさんの摩訶不思議なひみつ道具を思いつくことができますか?
量子コンピュータや量子力学の発展により、非現実的なことが現実に
なりうると著者はおっしゃっています。
果たして「ドラえもんのひみつ道具」がいつか現実になる日が来るのでしょうか?
そう考えると、改めてあの漫画は宝の宝庫なのです。
よかったら、童心に帰って読んでみませんか?
② 『未来に先回りする思考法』佐藤航陽(著)
著者の佐藤は、ベストセラーになった『世界2.0』(幻冬舎)の著者でもあります。
冒頭このようなタイトルが目に飛び込んできます。
「なぜ、99.9%の人は未来を見誤るのか」(p.4)
「飛行機の実現までには100万年から一千万年はかかるだろう」と、
かつてニューヨーク・タイムズが書いた記事だそうです。
宇宙船開発に取り掛かると宣言したとき、「宇宙船なんて夢のまた夢」と99.9%の人たちはそう思ったであろうと。
これを聞いて私たちは笑うかもしれませんが、現在の私たちだって変わりません。
iphoneにしてもFacebookにしても、まさかこれほどまでに普及するとは
思ってもみなかったようです。
しかし、0.1%の人は、まったく違った思考法を用いて、未来に先回りすることができるのです。例えば、スティーブ・ジョブズ氏のように。
著者曰く、未来に先回りすることができる人たちというのは、「総じてテクノロジーに理解が深く、経済、ヒトの感情などの複数の要素を把握し、社会が変化するパターンを見抜くことに長けている」(P.6)そうです。
本書ではそのパターンとは何かについて書かれています。
そして、テクノロジーが社会にどのような影響を与えると予想されるのか、
テクノロジーは人類にとって脅威なのか、など今まさに私たちが直面している問題について見解が書かれています。
未来に先回りする方法、本書を読み終わっても「これぞ」という答えが
書かれているわけではありません。
たくさんのヒントを参考にしながら、トライアンドエラーでやってみようというところでしょうか。
どんなにテクノロジーが進歩しようとも、やはり不確実性を完全に排除することはできないのですから。
4. 過去が予測した現在
去年、幸運にも落合陽一さんの講演を聞くことができました。
内容も盛りだくさんでしたし、お話のスピードも早かったので、記憶が薄れておりますが、確か大阪万博のお話をされたときのことだったかと思います。
70年代に、30年後の未来?だったか、未来を予測した記事が書かれていたとか、そんなお話をされていたように記憶しています。
私たちは、現在から過去を見ることには慣れていますが、未来から現在を振り返ろうとすることはほとんどしないのだと。
過去が予測した未来、すなわち現在。果たして予測は当たっていたのだろうか。
そんな疑問に答えられるのは、書物や映像技術が発達した、まさにテクノロジーの恩恵です。
そこで、まずは映像資料を用いて、過去の人たちがどのように現在の進化を夢見て、それを実現できたのか見てみることにしましょう。
① プロジェクトX 挑戦者たち
このコラムの最後に<参考映像資料>を掲載しておりますが、かつて国産自動車の開発や国産コンピュータの開発は不可能だと思われていました。
「プロジェクトX」に登場する、英雄でありカリスマ性を持ったイノベーターと、それを支える見事なチームワークに胸が熱くなります。
彼らは、自動車やコンピュータの国産化という当時としては無謀な目標を掲げ、それを実現させたのです。
映像で見る限りでも、イノベーターたちは並大抵の頭脳ではなく、幾度の困難にもくじけない忍耐強さがあります。これこそが、日本のイノベーションなのではないでしょうか。
そして、前章で取り上げられた、未来に先回りする思考ができるトップクリエーターたちは、「問題定義型」の思考をしているのではないかと考えます。未来の課題をつくるという意味で。
一方で、プロジェクトXに見られる挑戦者たちは、現在の課題を未来に解決することをめざす、「問題解決型」の思考ではないかと、そう考えます。
戦後間もない時代には、たくさん解決すべき課題があった。
そして、その課題を解決するために、目覚ましい技術革新が起きたのだと。
私の勉強不足で断定はできませんが、今も日本人の未来予想は、現在ある課題を未来のテクノロジーで解決するという思考が根本にはあるのではないかと予想しております。
その参考となりそうな本を、一冊ご紹介します。
② フロネシス 2030年の「クルマ社会」を考える
この本は、2009年に発行されました。
現在、2023年。まだ途中です。過去から現在、そして未来と視点が移ります。
実に面白い企画だと思いませんか?この間に技術の進歩があって、
実現して当たり前になっている技術もあれば、方向が違った技術も
あります。
まだ実現できていない、これからどうなるかわからない技術もあります。
その変遷もさることながら、本書は車のテクノロジーだけでなく、
私たちの抱える社会課題を、どのように解決することができるのだろうかと
考えられています。
自動車だけでなく、モビリティ社会という広い視点で問題解決を考えている、とても素晴らしい本だと思います。
ほんの一例ではありますが、この本からも日本は未来に対して「課題解決」思考の傾向があるのではないかと、改めて感じました。
5. まとめ
初めてのエッセイということで、不慣れな文章でしたが、お役に立てそうな
情報はありましたでしょうか?
世界のトップクリエーターたちが未来に先回りする思考をしていることがわかり、そして日本人は、未来の課題解決に向けて技術革新を進める、日本流の思考があるのではないかという予想を立てました。
「未来を先回りする」という発想をもう一歩先に進めれば、
「未来創造型イノベーション」つまり、「未来はこうなるだろう」と予測して、そこに向かうための困難な課題を解決をするということになるのでしょうか。
日本も、「未来創造型イノベーション」を起こせるといいですね。
先日偶然、安宅和人さんご出演の番組を拝見しました。
そこで「物魂電才」という言葉を聞いて、衝撃を受けました。
日本人のモノづくりの強みを生かしつつ、デジタル分野へ移行すること、
これが必勝法のようでした。
日本が飛躍するために、世界のトップクリエーターたちの思考法を習得して、同じ土俵で戦えたらいいな、と素人ながら祈っております。
未来を予想し、適切な問題設定をすれば、日本は「問題解決能力」が高い国だと思うのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
<参考文献>
1. 一橋大学イノベーション研究センター(編)『イノベーション・マネジメント入門』日経BP, p.2
2. 村上憲郎(著)『クオンタム思考』日経BP, P.16
3. 藤子・F・不二雄(監修)『最新ひみつ道具大辞典』小学館
4.藤子プロ 日本科学未来館(監修)『ドラえもん科学ワールドspecial
秘密道具Q&A』小学館
5. 佐藤航陽(著)『未来に先回りする思考法』ディスカバリー・トェンティワン
6. 三菱総研の総合未来読本『2030年の「クルマ社会」を考える』丸善
7.橋爪紳也(著)『1970年 大阪万博の時代を歩く ー戦災からの復興、
高度経済成長、そして万博へー』洋泉ー
(本記事を書く際に、見つからず読むことができなかった本ですが、参考になると思います)
<参考映像資料>
1. プロジェクトX挑戦者たち『われら茨の道を行く~国産自動車 攻防戦~』NHK出版
2. プロジェクトX挑戦者たち『国産コンピュータ―ゼロからの大逆転
~日本技術開 伝説のドラマ~』NHK出版
3. 【シン・二ホン2023: 安宅和人】YouTube PIVOT