みなさん、こんにちは。
ご訪問頂き、ありがとうございます。
先日、松下幸之助記念館から持ち帰った「道」という短冊に書かれた言葉を、何度も読み返しても目頭が熱くなります。
あの時、「イノベーションの勉強を始めたはいいけど、落としどころは見つかるのだろうか?これから、どんな本を集めていったらよいだろうか」と、あれこれ考えながらパナソニックミュージアムに訪れておりました。目標は設定しましたが、それがゴールではないことは薄々感じるようになっております。
ミュージアムで松下幸之助氏の足跡に触れて、自分がどれほどちっぽけな人間なのかと改めて思い知らされ、帰りは吹っ切れて気持ちが軽くなりました。いいタイミングでした。本当に行ってよかった。
うちの相方にも「着地どころが思い浮かばないんだけど」と相談したところ、「着地どころのあるものなんて、本当の答えじゃないんじゃないか。着地点があるものなんて、誰でも思いつくと思うよ」と。なるほど、深い。
これはきっとライフワークになるのかな。これが私の「道」なのかなと。
さて本題に入る前に、「テクノロジー編」ということで、どういう技術を対象にするかが
問題ですよね。
業界全体の動向をこのブログで追うことは不可能ですので、よろしければ下記のサイトを参考にしていただくというのはいかがでしょうか。
日本の技術に関して一番把握されているのは、きっと特許庁ではないかと思います。
特許出願技術動向調査 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
参考になれば幸いです。
方針としましては、テクノロジー編は私の関心のあるテーマの本を入手次第、ご紹介していこうかと思います。
まず今回ご紹介するのは
高梨千賀子・福島 勲・中島 震 (編著)
『デジタル・プラットフォーム解体新書 -製造業のイノベーションに向けて-』
(近代科学社, 2019年, ¥2,500+税)
【新品】デジタル・プラットフォーム解体新書 製造業のイノベーションに向けて 高梨千賀子/編著 福本勲/編著 中島震/編著 内平直志/著 大谷純/著 小川紘一/著 高梨千賀子/著 中島震/著 中村公弘/著 野中洋一/著 福本勲/著 山本宏/著 価格:2,750円(税込、送料無料) (2023/8/6時点) 楽天で購入 |
編者略歴
高梨 千賀子氏 立命館アジア太平洋大学 国際経営学部 准教授
福本 勲 氏 東芝デジタルソリューションズ(株)担当部長
中島 震 氏 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 教授
本書の目的
- デジタル・イノベーションやデジタル・プラットフォームについて、ビジネスと技術の
両面から本質を解明すること
- イノベーション・モデルの転換やプラットフォームの役割についても、オープン&クロース戦略という2つの視点から紹介する
本書の構成
- 製造業イノベーションの背景とCPS*の発展を紹介する。
- ソフトウエア・システム開発の観点からテクノロジー・プラットフォームの技術発展を概観する。
- ビジネス・プラットフォームの観点から、デジタライゼーションが可能としたビジネスモデルの背景を詳述する。
- テクノロジー・プラットフォームとビジネス・プラットフォームを俯瞰し、デジタライゼーション時代のイノベーションをいかに進めていくかを論じる。
- 企業の外部環境に注目し、製造業イノベーションの支援に向けた業界の動きおよび産業政策を概説する。
- 製造業デジタル・イノベーションをリードしている企業の具体的な事例を紹介する。
*CPS(Cyber Physical Systems)
実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して、分析/知識化を行い、そこで創出した情報/価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくもの。
(出典 https://www.jeita.or.jp/cps/about/)
◎3次経済革命
デジタル化やソフトウエアという、これまで全く異なる技術体系が起点となって起きた
「“論理体系の産業化”」と定義する(p.ⅲ)
◎3次経済革命では、利潤を産みだすための差異化の場が、モノ/アゼットから仮想化されたサイバー空間(デジタル・プラットフォーム)へシフトするのです。」(p.ⅳ)
- デジタライゼーションの時代
21世紀、最初の10年が過ぎたころ、IoTと人工知能といった最新のコンピュータ技術がつながる工場、考える工場、スマート工場を実現し、製造業にイノベーションをもたらした。
工場オートメーション(FA)の導入は、既存ビジネスを業務改善し、斬新的イノベーションをもたらす。
一方、スマート工場は、インダストリアル・ビッグデータを分析し、活用することで価値創造を狙い、革新的イノベーションや破壊的イノベーションを実現する(P.9)。
・IoTビジネス・エコシステム
・基本思想としてのCPS
- ソフトウエア技術の発展
・ディペンダブルな工学システムの信頼性と安全性
・ディペンダブルなソフトウエアの構築では、複雑さを乗り切ることが大切
◎クネビン・フレームワーク
VUCAの世界において、実際の世界をどのようにとらえ、どのように考えて
行動したらよいかを体系づけたもの
・テクノロジー・プラットフォーム
この章は、専門知識が欠落しているため理解できませんでしたが、クネビン・フレームワークが興味深いです。
- サービタイゼーションとプラットフォーム
「デジタル化あるいはモジュール化、ネットワーク化、ソフトウエア化およびそれらの国際標準化は、世界的なレベルで産業構造を一変させ、いわゆるエコシステム型のグローバルな産業構造を生み出した」(p.52)
・サービタイゼーション
・G-Dロジック(Good Dominant Logic
⇒S-Dロジック(サービス・ドミナント・ロジック)
・文脈価値
・コマツの事例
・ビジネス・プラットフォーム
・商品開発を効率的に行うためのプラットフォーム
・イノベーション創出基盤としてのプラットフォーム(インテル)
・ビジネス・エコシステムの中のプラットフォーム
・アーキテクチャ論の中のプラットフォーム
・商品基盤としての両面市場(楽天市場・Amazon)
・オープンサービス・プラットフォーム
- イノベーション・デザイン
デジタル・イノベーションにおいては、テクノロジー・プラットフォームとビジネス・プラットフォームは不可欠である(p.79)
最終的にテクノロジー・プラットフォームをビジネスで活用する場合は、ビジネス・プラットフォームとして提供される必要がある(p.180)
(例)楽天市場
・デジタル・イノベーションのデザイン
・イノベーション・デザインとは、イノベ―ティブな製品・サービスを生み出し、それを
市場で持続・発展させるビジネスモデル(収益モデル+ビジネスモデル)を設計する
ことである(p.83)
・「ネタづくり」「モノづくり」「カチづくり」
・デジタル・イノベーション・デザインの手順
・イノベーション・デザインを検証する
- 各国の動き
・Indusrie 4.0 (ドイツ)
リファレンス・アーキテクチャRAM4.0
・CPSとIotイニシアティブ(米国)
Indusrial Internet Consoritium(IIC):IoT推進団体
・中国製造2025
・Society5.0※(日本)
インダストリアルemenS・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)
Society 5.0 とは
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムによ
- 先進的な企業の取組み
・Siemens (ドイツ)
・GE(米国)
・Bosch(ドイツ)
・SAP
・プラットフォーム展開における知財戦略
・標準化を見越してビジネスエコシステム構築を狙う特許戦略
・依然として活発なハードウエア特許出願
私は全くのど素人なので、ザクッと読んだだけで書評はできませんが、各章ごとに
参考文献が列挙されていますので、詳細は参考文献を参照されるといいかなと思います。
なんとなくですが、「モノ」から「コト」、「財」から「価値」に関心が移行しているのだなということがわかりました。あと、「プラットフォーム」をいかに活用するかと「ビジネスモデル」の構築が重要であるということがなんとなくわかりました。
最新の情報化と思いきや2019年出版と、少し時間が経過しておりますが、今回は最新技術のテクノロジーの本を紹介しましたので、次回は逆に「伝統工芸」からのイノベーションの
本を紹介しようと予定しております。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
よい休日を!