みなさん、こんばんは。
今日は疲れたので、投稿は明日にして寝ようとしたら
まだ20:40。
いくら何でも早すぎる。
頭がいちだんと鈍っていますが、書き留めることにします。
さて、改めて今回ご紹介するのは
黒川紀章(著)『ホモ・モーベンス』(中央新書, 1969年)
(略歴)
京都大学工学部建築学科卒業
東京大学大学院丹下健三研究室に入り博士号取得
黒川紀章建築都市設計事務所設立、所長
本書の構成は下記のとおりです
序章 ホモ・モーベンスとは何か?
第一章 ホモ・モーベンスの環境
(「多重ネットワーク時代に対応する多重構造都市の出現」)(メモ書き)
第二章 ホモ・モーベンスの条件
(情報化社会における、われわれ自身-いわばホモ・モーベンスの人間的条件について問う)
(メモ書き)
第3章 ホモ・モーベンスのすみか
・「道の空間」・・・建築であり、生活空間としての道
・「自動車の空間」・・・
移動空間として、カプセルとしての自動車
過度の情報洪水から身を守るシェルターであり
車のなかは人を平等にする
・「カプセル宣言」
(以上メモ書き)
雑ではありますが、各章のポイント、重要と思われるキーワードを
メモ書きとして抜き出しました。
さて、本書のタイトル「ホモ・モーベンス」とは何か?
謎めいたとても気になる響きですね。
ホモ・モーベンスとは、新しいタイプの人間、「移動する人(動民)」という
著者の造語です。
著者はこう綴っています、
「みずからの存在の目的と行為の最高価値をモビリティに求め、
それによって生の存在証明を獲得しようとする人である。
彼は、社会的な行為の場においても、自身の内面においても、
あらゆる固定的な思想と旧態依然たる体制に反抗し、
常に新しい未来へ向かって「動こう」とする。」(p.14)
↑この「旧態依然たる体制」とは、おそらく「工業化社会」のことをさしているのではないでしょうか。
「工業化社会」から「情報化社会」に移行過程で「ホモ・モーベンス」が出現した。
ざっくり下記のようにまとめます。
工業化社会
固定的で、巨大で、体系的なピラミッド社会
↓
情報化社会
多様性社会
個人の自由が最大限に認められる社会
ホモ・モーベンスの出現
著者は、社会の急激な変化の中でこのように感じたといいます。
「私は、都市、建築、芸術、技術と我々の生活を取り巻いて激しく変化する
この混沌の中に「動という」一本の太い軸が通っており、すべてはそれをめぐって
大きな渦を巻いていることを感じないわけにはいかない。(p.13)
そして、「ホモ・モーベンス」の出現は、けっして偶発的なものではなく
この転換期に必然的な現象だと考えると述べています。
ところで、黒川紀章といえば「中銀カプセルタワービル」が有名ですね。
私も「新美の巨人」で見ました。雑誌に載っていたような気がします。
奇抜なというか、アート作品のような、面白い建築物でしたね。
もう取り壊されたのかな?
この『ホモ・モーベンス』の本を手にされた方の多くが、あのカプセルの意味を
知りたいというお気持ちもあったのではないかと思います。
私もそうでした。
そして後半に「カプセル」というワードが出てきたときは、やっと出たと思いました。
このカプセルの意味とは何だったのでしょう?
その前に、この本が書かれた時代を想像してみましょう。
大家族から核家族へと徐々にシフトしていった頃だったのでしょうか?
現在は、核家族どころか、一人世帯も増えてきているのではないでしょうか。
何家族というのでしょうか?
私は物理のことは全くわかりませんが、「エントロピーの法則」のような
現象が人間社会にも起きているのでしょうか?
そして、自由になった個人の住環境が「カプセル」だということなのかなと
解釈しました。
著者の言葉を引用しましょう。
カプセルとは「全く自由な行動の論理」「運動の形態をもっている」
「今後住宅は、個人空間の集合体であると考える。」(p.156)
「これからの都市のランドスケープを決めるのは、高速道路や
超高層ビルではなく、むしろユニット化された個人空間の
巨大な集合体になるのではなかろうか。」(p.156)
そして
「建築とは、無数の機能=カプセルの集合状態そのものであり、
いくつかのカプセルが出会ったときできる群又は場の状態である。」
(p.173)
こうして、あの不思議な建築物が実現したということなのでしょう。
これが黒川紀章氏の思い描いた、情報化社会の都市の姿、人々の生活空間だったと
思われます。
この本の感想は、私が書くととてもチープになりますし、
結局なぜこの発想が生まれたのか、なぜカプセルに行きついたのか全く
理解できませんでした。
そこで、見つけました。
最高の解説書を。
柳井良文氏の博士論文
「建築情報学:情報空間としての建築・都市の設計に関する一考察」
ダウンロードできます。
丹下健三氏と黒沢紀章氏のことが書かれています。
ドクター論文ということで、かなりのボリュームがあり
最後まで読んでいませんが、「アクターネット」のことが
書かれていて、あ、これはいつかここにたどり着くかもしれないと
思っている分野のことが書かれているなと思いました。
時間を見つけて最後まで読みたいです。
いやあ、疲れた。
『ホモ・モーベンス」のページが外れたりして、ボロボロです。
次の持ち主は誰だろう?
それでは、次回は「広場」です。
それでは、また。