【ソーシャル・イノベーション】総集編 vo.1

みなさん、こんにちは。

諸事情で、過去に投稿した「ソーシャル・イノベーション」に関する記事を

集めて総集編として投稿いたします。

結構なボリュームになるので、何回かに分けて投稿します。

10月末に向けて、再送する予定です。ご了承ください。

みなさんにも参考にしていただければ幸いです。

読書のペースが落ちておりますが、ソーシャルイノベーション編も

引き続き頑張ります。

それでは、以下総集編をご覧ください。

第1回「CSV」

さあ、いよいよ「ソーシャル・イノベーション編」に入りました。

今回は概念を勉強することにしましょう。

Harvard Business Revew/ダイヤモンド社

『経済的価値と社会的価値を同時に実現する共通価値の戦略』

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー論文

実は3年前に読んでいたのに、全く記憶に残っていませんでした。

確かに、当時はまだ「社会課題」という言葉も今ほどトピックに上がって

いなかったような気がします。

斬新で興味が惹かれてダウンロードしたんですよね。

CSV(Creating Shred Values )(共通価値の創造)は、マイケル・ポーター氏ら

によって提唱された経営戦略ですね。

今回改めて読み直してみて、やっぱり概念は難しいですね。

次回は、よりたくさん事例が書かれた書籍をご紹介したいと思います。

とりあえず、ザクッとまとめてみます。

(1)「共通価値」とは何か?

「共通価値」(Shared Value)という概念は、経済的価値を創造しながら、

社会的ニーズに対応することで社会価値も創造するというアプローチである(p.5)

これまでの資本主義の考え方は、「企業の利益と公共の利益はトレード・オフである」といったものが支配的であった。(p.5)

しかし、ポーター氏はこの考えは正しいとはいえず、共通価値の創造に取り組むことで、

グローバル経済に新たなイノベーションと生産性の向上がもたらされると主張する(p.8)。

(2)どのようにして共通価値を創造するのか?

それは、企業が事業を営む地域社会の経済条件や社会状況を改善しながら、自ら競争力を

高め実行することで、社会価値を創造するとともに経済的価値も創造する。

企業は、次の3つの方法によって共通価値を創造できる。

①製品と市場を見直す。

②バリューチェーンの生産性を再定義する。

③企業が拠点を置く地域を支援する産業クラスターをつくる。

詳細は本文をご覧ください。

「中小企業庁 第3部 社会価値と企業価値の両立」というページをご覧になると、

参考になると思います。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/h26/html/b3_5_3_1.html

それでは、次回も「CSV」について、勉強しましょう。

それでは、また。

【第2回 CSV経営戦略】

さて、今回ご紹介するのは

名和高司(著)『CSV経営戦略-本業で高収益と、社会課題を同時に解決する』

(東洋経済新聞社, 2019年, ¥2,400+税)

CSV経営戦略 本業での高収益と、社会の課題を同時に解決する [ 名和高司 ]
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まずは著者のプロフィールから

名和高司 氏

一橋大学大学院経営管理研究科客員教授

80年 三菱商事入社

90年 ハーバードビジネススクールにてMBA取得

その後20年間マッキンゼーのディレクターとしてコンサルティングに

従事。

2010年より現職に至る。

一言でいえば、本書は「CSVの手引書」だといえると思います。

あらゆる角度から考察されていて、発案者の、マイケル・ポーター氏の

主張に足りない点も補足されています。私の感想としては、「スキがない」。

日本の方が、このような世界に一歩進んだ議論をされていることに誇りと自信を

持てる一方で、著者が海外と日本を行き来してきたからこそ、日本の長所も弱点も

冷静に把握されていることに感服いたします。

「CSV」や社会課題の解決に関心をお持ちの方には、是非お勧めしたい本です。

本書のすばらしさを十分に表現できないかもしれませんが、ザクッとポイントを

絞ってご紹介したいと思います。

  • 1.CSVのメカニズムについて

前回ご紹介した、マイケル・ポーター氏の論文で、「CSV」とは社会的価値と

経済的価値を同時に実現する共通価値であることがわかりました。

本書でも、その具体的事例が幾つか紹介されていますが、私の理解では

大きく分けて、次の2つの方法が挙げられると思います。

  • サプライヤーのサポートを通じて、生産性の向上を図る
  • 需要者のニーズを満たすことにより、市場の拡大を図る

これらによって、経済的価値が増大する

本書は、日本企業の取組みもご紹介されていますが、最近の日本企業の

「社会課題の解決」への取組みを紹介した記事が下記のサイトにあります。

ご参考まで。

(アサヒとロッテの取組み)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC313860R30C23A3000000/

  • 2.課題

とはいうものの、CSVの実現は、決して容易ではありません。

まだ始まったばかりの発展途上の段階であり、手法も答えも模索していかな

ければなりません。本書では、以下のような課題が指摘されています。

  • CSVの評価指標をつくることが困難
  • 社会課題の解決が経済的価値に効果を及ぼすのに時間がかかる
  • 日本の場合「もうける力」が弱点
  • 3. CSVを巡る論点

著者がCSVの課題を解決するために必要と思われる以下4つのモデル

を提示している。

  • ガバナンスモデル
  • ビジネスモデル
  • 組織モデル
  • J-CSVモデル
  • 4. 日本発のCSV(J-CSV)

著者曰く「日本的経営とCSVは本質的に近似している」(p.308)

J-CSVが「実現すれば、異次元の成長が可能となり、

日本経済の再興をけん引することもできる」(p.307)

一方で、日本には弱点があり、これを克服しなければならない。

そのカギとなるのがJIT(「実装」「位相」「梃子」(p.318)である。

  • 5. CSV人材を目指す人へのメッセージ

CSVが、NGOやNPOと異なる点は、NGOやNPOは自ら富を生まずに

再分配をするのに対し、企業だけが価値を生み出すことができる点である。

(p.349)

最近の優秀な若者が、NGOやNPOに流れる傾向が世界的にも見られる

という話を聞きますが、この違いを理解したうえで進むべき道を熟考して

いただければ思います。

参考になれば幸いです。

私の感想としては、予想以上にCSVの実現が難しいことと、

日本の場合、馴染みがあるがゆえに正しく理解できていない、

そして、社会課題を解決することは「美徳」だが、それによって

「稼ぐ」というのがどこか「卑しい」ともとらえられかねない

という、道徳観が影響しているようにも感じます。

根気強く、腰を据えたプロジェクトを実行していかなければ

ならないのだなと思いました。

なにより、「CSV」で本当に「稼げるのか」。これが一番の

疑問であり、関心事です。この点については、更に資料を集めて

検証していく必要があると思います。

CSVについては、HBR(ハーバード・ビジネス・レヴュー)でも記事が

紹介されていますが、ここでいったん休憩して、次回は社会課題にテクノロジー

を使って挑んでいるベンチャーのお話を読むことにしましょうか

【第3回 水道を救え】

さて、今回ご紹介するのは

加藤 崇(著)『水道を救え―AIベンチャー「フラクタ」の挑戦』

(新潮新書, 2022年, 780+税)

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「蛇口をひねれば当たり前に水が出る」。これがもしかしたら、

当たり前でなくなる日が来るかもしれない。

にわかに信じがたい話ですね。

でも、それを裏付ける根拠が書かれています。

読み進めるにつれて、これは大げさな話ではないかもしれない、

そう思えてくるのです。

それでは、ここで著者のプロフィールをご紹介しましょう。

加藤 崇(氏)

早稲田大学理工学部応用物理学科卒業

元スタンフォード大学客員研究員。

東北大学特任公寿(客員)

2015年に「フラクタ」をシリコンバレーで創業

(CEO)に就任

さて、「水道」にどんな問題が起きようとしているのでしょうか?

日本は他の諸外国に比べて、水環境にとても恵まれていますし、

よほどの災害が起きなければ、さほど水道のトラブルが頻繁に

起きることはないように思うのですが。

しかし、日本の水道管の総延長して地球17周分のうち4週分は法的

提要年数の40年を過ぎていると算定されます。

つまり、交換が必要なのです。

しかし、これは単純な問題ではありません。

地中に埋められた水道管は、材質や地質、環境に

よって大きく寿命が異なり、交換の優先順位を

見極めなければならないからです。

加えて、少子高齢化による人口減少も追い打ちを

かけます。

水道の維持にかかる費用を負担する人口が減るのです。

こうした問題の解決に挑むのが、本書の著者である

加藤 崇(氏)率いるAIベンチャー「フラクタ」です。

「フラクタ」は、「環境ビックデータとAIを用いた水道管路

劣化診断技術を提供する」(p.194)企業です。

果たして、「フラクタ」は私たちの救世主になれるのか?

フラクタは、米国や英国でも事業を展開しており、

日本においても、いくつかの自治体の水道局等にサービスの提供を

しています。

その効果が表れるのには、おそらく時間がかかることでしょうし、

現時点で「救世主」になれるかどうかは明確にはわかりません。

また「水道の民営化」についても、頭をよぎるかもしれませんが、

これもまた一筋縄ではいかないようです。詳細は本書をお読みいただけると

よいかと思います。

水道に限らず「公共インフラ」の問題は、とても難しいことを知ることが

できました。そこをあえて果敢に挑む著者の加藤氏の、勝負勘というか

嗅覚の鋭さを感じます。

自身の生い立ちも紹介され、逆境の強さ、使命感、熱血感が伝わってきます。

課題解決をビジネスにと考えるのであれば、人の心を動かす情熱と使命感がなければ

いけないのだと感じました。

また経歴や、いきなりシリコンバレーで起業するのですから、ただものではないことも

よくわかります。

私たちが求めている起業家であり、イノベーターだといえるでしょう。

本書は、ボリュームは多くありませんが、中身は非常に濃密でぎっしりと

情報や戦略が詰めこまれています。

みなさんにとって、これが日本の水道の現状と未来を考える機会となれば

幸です。

【第4回 本紹介の前に】

今回は、本紹介の前のメモ書きです。

よかったらお付き合いください。

そもそも、「社会」って何だろう?なぜ「社会」のことを考えないといけないのだろうか?

私が思うに、社会とは、例えるなら「大海」のよう。

明日海がどうなるのかなんて、わからない。

平穏な時もあれば、荒れ狂う時もある。

「社会」を知らずに大海を航海するのは、羅針盤を持たない無謀な旅に等しい。

ドラッカー氏の本を通じて、羅針盤を手に入れられたらいいなと思います。

今回はドラッカー氏の生きた時代について、少し調べたのでここに記録します。

<ピーター・ファーディナンド・ドラッカー>

1909年11月19日(生)~2005年11月11日(没)

オーストラリアウイーン生まれ

ユダヤ系オーストリア人の経営学者

(ウイキペディア参照)

だんと、1世紀近く生きた方なんですね。

そして、この1世紀というのが、世の中が激変した時代だったということも

ドラッカー氏を理解する上で重要ではないかと推測します。

ドラッカー氏が誕生して間もなく、第一次世界大戦(1914年)が勃発します。

二度の世界大戦を経験し、彼が亡くなる2000年初頭というのは、

アメリカで同時多発テロが起き、アメリカのIT不況が世界に波及し、

世界経済が減速した時期だったようです。

(内閣府ホームページ「世界経済の潮流2002年春」参照)

彼が亡くなったのは、2005年。

私が子育てに追われていた時期です。

このブログの読者の方のご年齢によって感じ方は変わると思いますが、

私にとってはついこの間のように思われます。

同じ時代を生きていた、重なる時期があっただなんて、驚きます。

彼は、どのように時代の流れを、社会の変化を見ていたのだろう?

益々興味が湧いてきますね。

【第5回 New Society】

日本は、ルネッサンス(再生)の用意はできているか。

     (p.ⅰ 日本の読者へ ―ルネッサンスへの期待 より)

『はじめて読むドラッカー(社会篇)

 イノベーターの条件-社会の絆をいかに創造するか』

(P・F・ドラッカー著/ 上田 惇生 編訳)

ダイヤモンド社, 2018年, ¥1,800

みなさん、こんにちは。

投稿者の「らん」です。

長らく時間がかかりましたが、ようやくこの本の世界の旅が終わりました。

想像以上に難解でした。

旅が終わると、毎回こうして真っ白なキャンバスに向かうわけですが、

今回はほとんど下書きをしていません。

イメージするままに、感じるままにスケッチして、この旅を締めくくりたいと思います。

本書のタイトルに「イノベーターの条件」と書かれている通り、

本書の目的は

「社会的なイノベーションに必要な洞察・理解・ビジョンを読者各位

にもたらすことである」(p.ⅳ)そうです。

ドラッカー氏の洞察は、やはりとてもとても深く、彼の鋭い眼光が

見据える先は遥か遠いのです。

彼の膨大な知識を、どれだけの人が理解できるのだろう?

思わず、高校の世界史の本と倫理の教科書を探したくなりました。

いえ、教科書に書かれていないことがたくさん書かれていたように

思います。

ルソーから始まり、マルクス、そして全体主義へと辿っていく

過程など、誰がこれまで教えてくれたでしょうか?

ロマン主義というのが、どれほど不安定で危ういものだったかと、

気が付くことは困難だったと思います。

「社会」というのは、まるで生き物のように、自在に変化します。

編訳者の上田氏は、ドラッカー氏のことをこう称します。

「ピーター・F・ドラッカーは社会生態学者である。

社会生態学者は形態を扱う。社会を全体としてとらえる。」と

(p.269)

ドラッカー氏の生きたおよそ一世紀にわたり、彼は

自然生態学が自然環境を観察するように、人間環境を

観察してきました。

そして、彼は21世紀の社会の変化を予測していました。

「継続教育」や、当時はこの言葉はありませんでしたが

「テレワーク」という働き方を予言していました。

そして、彼が予言した「イノベーター」の出現。

ソーシャルイノベーションが起きる際に現れるはずの

「イノベーター」とはどんな存在なのでしょうか?

イノベーターはどんな役割を期待されるのでしょうか?

本書からは、残念ながら読み解くことができませんでした。

もし、ドラッカー氏のような常人では到底難しい洞察力が

必要なのであれば、ハードルは遥かに高いものになります。

ドラッカー氏のような影響力を持つ必要があるのであれば、

さらにイノベーターの条件を満たすことは、絶望的に困難です。

本書ではNPOについても触れていますが、私としては

イノベーターの条件に近いのは、「社会起業家」の方では

ないかと思います。

社会課題の解決と利益の創出の両立が必要ではないかと。

加えて、社会的影響力を持つ存在。

それは、必ずしも個人である必要はなく、

このブログでもこれまで取り上げてきたように、

社会課題に挑む企業の存在も考えられるのではないかと思います。

本書を通じて、「社会」とは何か?

「社会」とは生き物のようであり、自然のままに任しておくと、

時に思わぬ方向へと向かってしまう、とても危うい生き物であることを

学びました。

「社会」は私たちの手で、変えることもできる。

Change the Sociey

新しい社会がより良い方向に向かうことを願います。

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