<デザイン思考の進化>

みなさま、こんにちは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

ついにデザイン思考、最終回ですね。もしかしたら、今後の動向次第でまたご紹介するかもしれませんが。ホッとしている反面、やはり寂しいものを感じます。

うちの下の子が最近、私がブログで紹介している本を「大学生になったら読むから、きれいに保管しといてね!」と、うれしいことを言ってくれるようになりました。

「いやいや、君が大学生になる頃には電子書籍が当たり前になっているのでは・・・」。

今回ご紹介するのは

Harvard Business Review  “デザイン思考の進化“ (April 2016)

(ダイヤモンド社, ¥2,060)

少し古い論文集にはなりますが、『本質』に新しいも古いもないはず、と思い、これを締めくくりの一冊に選びました。

特集「デザイン思考の進化」が組まれていて、以下の4つの論文と2つのインタビュー記事が掲載されています。

〔1〕「デザイン思考」を超えるデザイン思考 / 濱口 秀司(ビジネスデザイナー)

〔2〕サムスン:デザイン思考から何を得たのか

 / ヨー・ヨンジン(テンプル大学フォックススクール・オブ・ビジネス教授

 /  キム・ギュンムク(サムスン電子コーポレートデザインセンター 主席デザイナー)

〔3〕【インタビュー】ペプシコ:戦略にユーザー体験を

〔4〕IDEO流 実行する組織のつくり方

 / ティム・ブラウン(IDEO CEO 兼 社長)

 / ロジャー・マーティン(トロント大学 ロットマンスクール・オぶ・マネジメント教授)

〔5〕デザインの原則を組織に応用する

/ ジョン・コルコ(ブラックボード バイスプレジデント)

〔6〕【インタビュー】はたして、論理は法相の敵なのか / 野矢茂樹(東京大学大学院教授)

まずはトップバッターの濱口氏の論文について、重要と思われるポイントを押さえておきたいと思います。

「デザイン思考」からイノベーションは生まれないのか?

 濱口氏は「デザイン思考」を2種類に分類します。

DTn (Design Thinking driven by needs / ユーザー中心のデザイン)

DTf (Design Thinkig driven by framworks / クリエーター中心のデザイン)

前者がユーザーニーズの本質をつかむことを最も重視するのに対し、後者はクリエーター、

すなわち業界のプロの企画者たちが陥るバイアス(先入観)を探すためのフレームワーク作成が肝心となる」(P.32より)といいます。

「次に、そのフレームワークからバイアスを見つけ、それを破壊するアイデアを生む。・・・・」

(p.32より)

こういった過程が、イラストを交えて可視的にかつ論理的に説明されています。  

初めてこの論文を読んだときは、頭の中がよじれるというか、もう訳がわかりませんでした。

このブログを通じて私なりに成長できたのか、今回改めて読み直してみて、実はとても論理的にわかりやすく書かれていたことがわかりました。2軸思考に慣れたのかもしれません。

みなさんはいかがでしょうか?

説明を読むと、なんとなくわかるような気がするのですが、実際に実行するのはとても

難しいように私には思えます。

例えるなら、(例えが的確ではないかもしれませんが)メジャーリーグで剛速球を投げるピッチャーからレクチャーを受けて、「こういうフォームで、このタイミングで投げて、こういう球の軌道を描くように投げるといいよ」と説明を受けて、なんとなくイメージは沸くのですが、実際に自分で再現できるかと言われるとそんなはずもなく、その球も速すぎて目で追うことすらできない、そんな印象を持ちます。

そういわれると元も子もないですよね。

「バイアスを破壊するメカニズム」とは?「ストラクチャード・ケイオス(構造・論理と混沌・直感)」を体得するには?

まだまだ難問が残ります。ゆえに、これらを理解するための思考法を模索していきたいと思います。

〔2〕〔3〕の論文とインタビューは、2社が「デザイン思考」を取り入れて組織改革をした結果、業績が好転した成功例が紹介されています。

しかし、全社をあげて「デザイン」の重要性を理解させ、組織改革を行うことは決して容易ではなかったようです。どのように組織改革を行い、成功を収めたのか、参考になるといいですね。

〔4〕ペルーのインテルコープグループのCEOロドリゲス=パストール氏は「ペルーに中産階級を生み出すことで国の経済を一変させたいという大志を抱いていた」(p.68)

彼が仕掛けた「ソーシャルエンジニアリングの大々的な実験とは」?

〔5〕IBMやGE、デロイトやマッキンゼーなどの大手戦略コンサルティングファームなど

デザイン思考を取り入れ始めている企業の今後の課題について考察しています。

デザイン思考は決して万能薬ではなく、適切な期待と現実的な時間軸に沿っていなければならないと提言しています。

〔6〕「論理的思考」というが、「論理」と「思考」は正反対の場所にあると説いています。

思考は飛躍するが、飛躍したものを相手にそのまま投げても伝わらない。

相手に伝えるために、論理が必要になる。両者は補完的な関係にあるように思う。

私たちが新しいものを生み出し、それを広げるには、2つの関係性をどのようにとらえ、どう活かしていくべきか、野矢先生のインタビューからヒントを得たい。

以上、ざっと簡単にまとめました。参考になれば幸いです。

ここで総評を書かないといけないですね。「うーん、悩みます」。

私個人の感想としては、「デザイン思考」が万能薬でないとしても、成功例がある以上は

やはり有効な解決手段であることには違いないと思います。

今の時代のニースにマッチしているのだと。

一方、「0→1」を生むイノベーションには適していないこともよくわかりました。

しかし、ブレストや付箋などのツールは使えるということもわかりました。

あとはイノベーションを生み出す思考をどう体得するか、それが難題だと思います。

思考のトレーニングしかないのかな。

さて今後の予定ですが、「イノベーション」をどういう切り口でさばいていくか、だいたいの方針が決まりました。

  • 理論(イノベーションとは?など)
  • 組織論(イノベーションを生み出しやすい環境とは)
  • テクノロジー論(文系の私には難しいですね。できれば最新のテクノロジーの動向も追ってみたいです。)
  • 思考編(アイデア・思考法)
  • 美意識+α

この5つのカテゴリーで紹介して行こうと思います。全くの我流です。途中で変更するかもしれません。ご了承ください。

詳細はその都度ご説明させていただきます。

長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

次回は少し間隔が空くかもしれませんが、またお立ち寄りいただければ幸いです。

それでは、よい週末を!

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