<地域産業とイノベーション>

みなさん、こんにちは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

今週こそは投稿間に合いそうにないなと、諦めて「進捗状況」と題した投稿をしようと予定しておりましたが、中盤でペースアップして予想外に間に合いました。

さて、みなさんは「小松マテーレ(株)」をご存知ですか?私は先々週に、「TRUSCO 知られざるガリバー」(テレビ東京)で紹介されていたのを、チラ見チラ聞きしました。確かブログを書いていたか勉強中だったか、あとで再放送を見ようと思ってしっかり見ることができなかったのですが、あとで調べたところ、下記のように紹介されていました。

小松マテーレ株式会社

1943年石川県で小松織物精錬染工(株)として創業

染色を基盤に多彩な事業を展開する「科学素材メーカー」です。

海外のトップブランドにも供給し、ファッション・スポーツなどの衣料分野から、医療関連

建築素材関連、電材関連などの資材分野、さらに炭素繊維や超発砲セラミック素材など環境素材を軸とした先端材料分野まで幅広い事業を展開しています。

(TRUSCO 知られざるガリバーバックナンバーより)

うちの相方にも言われたのですが、そう、ちょうどこういう伝統工芸から発展した企業を調べたかったところでした。

そこで、今回と次回にわたって「地域産業」と「イノベーション」をテーマにした本を2冊

ご紹介しようと思います。この1週間ほど、この2冊を並行読みしておりました。

今回紹介する書籍だけでなく、「地域産業」ってそもそも何に着目したらいいの?というところも同時に見たいと思ったからです。

今回ご紹介するのは、京都府丹後地域に絞ったお話です。2冊目はまだ読み終わっておりませんが、一地域に絞らず、日本全体の地域産業の動向や事例が紹介されています。

今回の投稿だけでなく次回の投稿と比較してみていただければと思います。

今回ご紹介するのは

松岡憲司(編著)『地域産業とイノベーション -京都府丹後地域の伝統・現状・展望』

(日本評論社, 2007年,¥4,500+税)

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*中古書のみの取り扱いになると思います。私は半額以下で購入しました。

まずはプロフィールから

松岡憲司 龍谷大学経済学部教授

北野裕子 種智院大学・大阪樟蔭女子大学非常勤講師

井口富夫 龍谷大学経済学部教授

野方 宏 静岡大学人文学部教授

村西一男 龍谷大学大学院経済学研究科特別専攻生

寺田昭夫 丹後機械工業協同組合常務理事

朴 泰勲 大阪市立大学大学院創造都市研究科助教授

山田順一郎 龍谷大学経済学部非常勤講師、中小企業診断士

金田 修 中小企業診断士

みなさんは、丹後地域と聞くと何を思い浮かべられますか?有名なのは「丹後縮緬」では

ないでしょうか。

しかし、和装の衰退とともに織物の生産高は減少し、1998年に機械・金属に1位の座を譲ることになりました。(p.75)

「機械・金属?」意外に思われませんでしたか?聞いたことがないなと思いませんか。丹後といえば、交通面では非常に不便なところであるにも関わらず、重工業が発展しているのです。

本書は、丹後地域の過去・現在・展望をという3つの視点から、どのように産業が移り変わり発展していったのか、そのルーツを追っていくとともに、この地域の産業政策の課題や

「産業クラスター」創造に向けての課題について解説しています。

本書の構成は

  • 丹後の伝統産業
  • 今日の丹後を代表する機会・金属産業の現状
  • 今後の丹後地域の産業に関する展望

丹後の可住地面積は155㎢で、約250事業所の機会・金属産業が集積し、丹後ハイテクゾーンを形成しているそうです。(p.107)

どちらかといえば、他地域より交通の便など不利な条件であるにもかかわらず、この地域の

機会・金属産業の出荷額等は、驚異的ともいえる大幅な伸びを示しているそうです(p.108)。

これらの産業の起源は、まず一つは伝統産業である「縮緬」の機械から発達した技術。

もう一つは、戦時中委疎開してきた「日本計算機」の技術に発するもの。そして「日本計算機」から独立してミシン部品の専門メーカーから自動車部品などの精密機械部品工作機械へと生産を拡大した(株)日新製作所の3つのルートがあるそうです。(p.111)

伝統産業から発展したのは機械だけでなく、「半農、半機地域の家内工業として、地域住民に古くより伝承され培われてきた製織技術の手の器用さ」も寄与していると思われる(p.192)。

また、(株)日新製作所の当時の社長錦織氏の旺盛な企業家精神がその発展に寄与したと

考えられている。

今後の展望については、やはり「産官学連携」が重要であると思われます。

また、シリコンバレーの成功例に見られるような「産業クラスター」を形成するための

課題についても触れられています。

本書は丹後という、一地域の産業の推移について書かれていますが、伝統産業から発展したイノベーションや「産業クラスター」、また海外移転の問題など、他地域にも参考になる

内容ではないかと思います。

次作は、地域産業についてより包括的に、より幅広い事例を取り扱った書籍をご紹介したいと思います。

それでは、また来週。 今週の休日企画はお休みします

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