<イノベーション>知識創造企業(前編)

みなさん、こんにちは。

ご訪問頂き、ありがとうございます。

随分引っ張りましたが、今回ご紹介するのは

野中郁次郎+竹内弘高(著)梅本勝博(訳)『知識創造企業』

(東洋経済新報社, 2006年, ¥2000+税)

知識創造企業(新装版) [ 野中 郁次郎 ]
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まずはこの本をご執筆・翻訳された先生方に敬意を表します。

そして、この本をしつこいほどに勧めてくれた友人に感謝の意を表します。

この本にたどり着くまでに、ちょっとしたストーリーがあります。

前置きが長くなりますが、ご了承下さい。

実は、先に手にしたのはこの本の続編『ナレッジ・イネーブリング』(次作でご紹介します)の方でした。

私の友人が「すごい本を見つけたよ。これはずごそうだわ。掘り出し物だわ。」と

珍しく興奮した様子で見せてくれたのが『ナレッジ・イネーブリング』でした。

スミレ色?というのでしょうか、薄紫色の、センスの良いイラストが描かれた本です。

私も友人も、わりと本の表紙カバーをみて第一印象で決めたりすることが多いみたいです。

いわば本の顔。著者のセンスや意向なども反映されているのではないかという憶測です。

この本には、不思議と魔力のような人を惹きつける魅力的な雰囲気を醸し出していました。

古書で購入したようですが、全く褪せない魅力的な本でした。

友人は、当分読む時間がないから貸してあげると言って、私に預けてくれたのが2年くらい前だったか、さっそく開いてみると、この本が続編だと書かれていたので面白そうだけど

前作を手にいれてくれるまで待つことにしました。

とても存在感のある本だったので、本棚の目立つところに飾っておりました。

再び、この本の話題が出たのは、私がちょうど日本の美意識に関心があって、今その本を探していると友人に話したときのことでした。

じゃあ、いまこそあの本を読んでみたら?SECI(セキ)モデルを勉強してみたら?と。

すぐには関心が持てず、何が関係しているのか、友人が何を意図しているのか全くわかりませんでした。ただ著者のお一人が野中教授だと知り、もしかしたらイノベーションと関係しているのかもしれないと思い、友人の提案に乗ってみることにしました。

こうして、いよいよ一作目を注文して、我が家に届くのに少し待ちました。古書だったので、少し時間がかかりました。私より友人の方が、いつ届くのだろう、そろそろかな?と気にしていました。

早く私に読ませて、感想が聞きたいようです。エッセンスが知りたいみたいです。

今回は、まだ3章までしか読んでおりませんが、そこまでの紹介を少しさせてください。

本書は、1970-80年代の日本企業の成功の要因として、日本企業が「組織的知識創造」の

技能・技術によると主張しています(P.ⅱ)

「組織的知識創造とは、新しい知識を創り出し、組織全体に広め、製品やサービスあるいは

業務システムに具現化する組織全体の能力のことである。」(P.ⅱ)

本書では人間の知識を「形式知」と「暗黙知」の二種類に区別してとらえています。

この「暗黙知」こそ、日本企業の競争力の重要な源泉であったと考えています。

第1章では、西洋と日本のマネージャーの「組織的知識創造」へのアプローチの違いを述べています。特に日本的知識創造の特徴について、ホンダ・シティの開発過程を例に挙げて紹介しています。

第2章では、「知識」とは何か、それはどうやって作られるのか、という大前提を検討します。

西洋と日本で、「認識論」(知識とは何かを研究する哲学の一分野)へのアプローチが異なることがわかります。この違いが、日本の組織的知識創造の特有さを理解するカギとなるようです。

この章は、哲学的アプローチで難解でした。哲学が苦手な読者はこの章を飛ばして3章からスタートすることを勧めています。

私も大学の教養で哲学の授業を履行しておりましたが、この章の内容には理解が追い付きませんでした。でも哲学には興味はあります。よかったら参考文献もご紹介します。

個人的には研究したり、論文を書いたりする上で哲学は必要だと思っています。

ドミニック・ㇽクール(著)矢崎壮宏/竹中俊彦/三宅岳史(訳)

『科学哲学』  (白水社,2005年, \951+税)

第3章では、「組織的知識創造の理論」を解説しています。

「知識創造」には、認識論的次元と存在論的次元があり、認識論の次元では、

「暗黙知」と「形式知」とのあいだで知識変換が起きるといいます。

暗黙知と形式知が相互作用するときにイノベーションが生まれると。

「組織的知識創造とは、暗黙知と形式知が四つの知識変換のモードを通じて、

絶え間なくダイナミックに相互循環するプロセスである。」(p.105)

そして「組織的知識創造は、個人レベルから始まり、メンバー間の相互作用が、

課、部、事業部門、そして組織という共同体の枠を超えて拡大していくスパイラル・

プロセス」(p.108)だそうです。

いわゆるSECI(セキ)モデルといわれるフレームワークのようですね。

私には難解でした。何回か読み直してみようと思います。

これまで読んだイノベーションに関する本とは、アプローチが異なっていて

斬新なアプローチのように感じます。

素晴らしい研究に触れることができて、友人に感謝しています。

次回は、本書の後編をご紹介したいと思います。

読書の時間がなかなか確保できないうえ、内容も難しいのでしばらく投稿を

お休みするかもしれませんが、よかったらまた覗いてみて下さい。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

それでは、また。

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