日本は、ルネッサンス(再生)の用意はできているか。
(p.ⅰ 日本の読者へ ―ルネッサンスへの期待 より)
『はじめて読むドラッカー(社会篇)
イノベーターの条件-社会の絆をいかに創造するか』
(P・F・ドラッカー著/ 上田 惇生 編訳)
ダイヤモンド社, 2018年, ¥1,800
みなさん、こんにちは。
投稿者の「らん」です。
長らく時間がかかりましたが、ようやくこの本の世界の旅が終わりました。
想像以上に難解でした。
旅が終わると、毎回こうして真っ白なキャンバスに向かうわけですが、
今回はほとんど下書きをしていません。
イメージするままに、感じるままにスケッチして、この旅を締めくくりたいと思います。
本書のタイトルに「イノベーターの条件」と書かれている通り、
本書の目的は
「社会的なイノベーションに必要な洞察・理解・ビジョンを読者各位
にもたらすことである」(p.ⅳ)そうです。
ドラッカー氏の洞察は、やはりとてもとても深く、彼の鋭い眼光が
見据える先は遥か遠いのです。
彼の膨大な知識を、どれだけの人が理解できるのだろう?
思わず、高校の世界史の本と倫理の教科書を探したくなりました。
いえ、教科書に書かれていないことがたくさん書かれていたように
思います。
ルソーから始まり、マルクス、そして全体主義へと辿っていく
過程など、誰がこれまで教えてくれたでしょうか?
ロマン主義というのが、どれほど不安定で危ういものだったかと、
気が付くことは困難だったと思います。
「社会」というのは、まるで生き物のように、自在に変化します。
編訳者の上田氏は、ドラッカー氏のことをこう称します。
「ピーター・F・ドラッカーは社会生態学者である。
社会生態学者は形態を扱う。社会を全体としてとらえる。」と
(p.269)
ドラッカー氏の生きたおよそ一世紀にわたり、彼は
自然生態学が自然環境を観察するように、人間環境を
観察してきました。
そして、彼は21世紀の社会の変化を予測していました。
「継続教育」や、当時はこの言葉はありませんでしたが
「テレワーク」という働き方を予言していました。
そして、彼が予言した「イノベーター」の出現。
ソーシャルイノベーションが起きる際に現れるはずの
「イノベーター」とはどんな存在なのでしょうか?
イノベーターはどんな役割を期待されるのでしょうか?
本書からは、残念ながら読み解くことができませんでした。
もし、ドラッカー氏のような常人では到底難しい洞察力が
必要なのであれば、ハードルは遥かに高いものになります。
ドラッカー氏のような影響力を持つ必要があるのであれば、
さらにイノベーターの条件を満たすことは、絶望的に困難です。
本書ではNPOについても触れていますが、私としては
イノベーターの条件に近いのは、「社会起業家」の方では
ないかと思います。
社会課題の解決と利益の創出の両立が必要ではないかと。
加えて、社会的影響力を持つ存在。
それは、必ずしも個人である必要はなく、
このブログでもこれまで取り上げてきたように、
社会課題に挑む企業の存在も考えられるのではないかと思います。
本書を通じて、「社会」とは何か?
「社会」とは生き物のようであり、自然のままに任しておくと、
時に思わぬ方向へと向かってしまう、とても危うい生き物であることを
学びました。
「社会」は私たちの手で、変えることもできる。
Change the Sociey
新しい社会がより良い方向に向かうことを願います。
さて、そろそろ桜がつぼみを膨らませています。
つぼみは昨年の11月だったか12月くらいにちょこっと顔を出していたように思いますが、
最近そのつぼみが、ふっくらしてきているのに気が付きました。
少し黄緑のようにも、ちょっとピンクっぽいものも見えるような。
楽しみですね。
それでは、次回は「ルール」をテーマにご紹介したいと思います。
よい一日を!