<イノベーション>パラダイム

みなさん、こんにちは。

梅雨明けした地域もあるようですね。

こちらも暑さが厳しくなってきました。

出掛けるのも億劫になりますが、それでも

一応書店を巡って新刊をチェックしたりしています。

目立つのは「渋沢栄一」さんの本。新一万円札を飾られたという

ことで、再びブーム到来ですね。

本ブログでも『論語と算盤』をご紹介しました。

そして、松下幸之助さんの『道をひらく』も山積みされているのを

あちこちで見かけます。

ともに日本の経営哲学を築かれた偉人。

そう、ソーシャルイノベーションの次のテーマを見つけました。

というより思い出しました。

以前気になる本を何冊かチェックしていたのを、すっかり忘れていました。

海外の事例を参考にしてみるのもいいかなと思ったりしています。

テーマについては、また改めてお知らせします。

さて、今回ご紹介するのは

トーマス・クーン(著)/ 中山 茂(訳)

『科学革命の構造』(みすず書房, 1979,¥1,500)

決して読みづらい本ではないのですが、このブログを始めて以来

最も難解な本でした。

きちんと理解できていないのですが、もっともらしく書く図々しさを

お許しください。また間違った理解をしているかもしれませんので、

ご自身で本書をお読みいただくか、他の解説サイトや論文をご参考下さい。

下記に要点を絞って書いてみますね。

1. 科学革命とは何か

科学は常に進歩し続けている、というのが私たちの共通の認識では

ないでしょうか。しかし、科学は、必ずしも累積的に進歩している

わけではないというのです。

「ここで科学革命という時、それはただ累積的に発展するのではなくて、

古いパラダイムがそれと両立しない新しいものによって、完全に、あるいは

部分的に置き換えられるという現象である。」

(p.104「第9章 科学革命の本質と必然性」)

2.パラダイムとは何か

はい、「パラダイム」という言葉が出てきましたね。

なんとなく聞いたことはあるけど、どういう意味なんだろう?

と思われた方も多いのではないでしょうか。

「パラダイム」という言葉は、wikipediaによりますと

「科学史家・科学哲学者のトーマス・クーンによって

提唱された、科学史及び科学哲学上の概念」だそうです。

一般的には「特定の時代や分野において支配的な規範となる

物の見方やとらえ方」という意味にとらえるようです。

トーマス・クーン自身は、下記のように定義しています。

「一般的に認められた科学的業績で、一時期の間、専門家に対して問い方や

答え方のモデルを与えるもの」であると。

3.パラダイムシフト

上述の「古いパラダイムがそれと両立しない新しいものによって、完全に、あるいは

部分的に置き換えられるという現象」というのが、おそらく「パラダイムシフト」では

ないかと思います。

本書にはこう書かれています。

「科学革命が始まる時も、やはり科学者集団の狭い一部に限られるが、

既存のパラダイムが自然の研究においてうまく機能しなくなった、

という感覚が広がる。」(p.108)

つまり、この危機に至る感覚が、革命の前提となっているというのです。

4.天動説と地動説

本書では、科学革命の事例が幾つか例示されていますが、私たちにとって

割と馴染みのあるのが「天動説」から「地動説」へのシフトした事例では

ないでしょうか。

これは、単に当時の人たちが誤った見方をしていたのだという認識では

終わりません。

みなさんも一度は見たことのある絵だと思いますが、「アヒルにもウサギにも見える絵」

また「老婆にも若い女性にも見える絵」

著者の深い考察や知識については、全く理解できませんでしたが、

なんとなくわかったことは、人は全く同じものを見ていても見え方が全く異なるのだということ。

アヒルにしか見えなかった人が、ある瞬間ウサギに見えたとすると。

アヒルに見える人が大多数だった時、少数の人がこれはウサギの絵だと言ったら

どんな反応が起きるのでしょう。

本書の難しさは、私が文系出身で科学の知識がほとんどないからというだけでなく

加えて「概念」が問題となっているからなのです。

本書に戻ると、このパラダイムシフトを起こすのは、しばしば若者であったり

他分野の人であるということで、いかに先入観にとらわれないかということ

のようです。

5.通常科学とは

本書では、「パラダイム」と「通常科学」というキーワードが

繰り返されるのですが、私の頭ではどういう位置づけで

「通常科学」という言葉を使っているのかがよくわかりませんでした。

ちなみにこう定義されています。

「特定の科学集団が一定期間、一定の過去の科学的業績を受け入れ、

それを基礎として進行させる研究を意味している」(p.12)

4.参考

「クーンのパラダイム論」(広島大学)

https://home.hiroshima-u.ac.jp/nkaoru/paradigm.html

本書だけでは、なかなか理解が難しそうなので、上記のサイトを

お勧めいたします。

5.なぜ本書を選んだか?その意義は

本書を選んだのは、何かの論文で米国のエリート校でよく読まれている本と

紹介されていたからです。

出所がわかりました。

「ベルツの「遺言」日本に「学術の樹」を」黒川 清(東京大学名誉教授)

私の関心は、なぜ彼らが本書を選ぶのか?それを知りたいがゆえに

この本に無謀にもチャレンジしました。

本書を理解することが、まず困難であり、読み終わってもその理由を

知るヒントを見つけることはできませんでした。

ただ、なんとなく思うのは、「パラダイムシフト」がこれから起こりうる

可能性が高いのではないかという予感。

AIの進歩、そして「量子力学」が世界の常識を変えるかもしれないことを

村上憲郎(元Google本社副社長)氏が著書『クオンタム思考』を示唆

していることが念頭にあるので、まさに今このタイミングで知るべき

本ではないかと、そういう意義のある本ではないかと思います。

パラダイムシフトが起きたとき、私たちは新しい世界を受け入れられるでしょうか?

この本を読むことで、ああなるほどなと思えるのではないかと、そう思いました。

さて、次回も先人の名著を読もうと思います。

改めて「情報」って何だろう?

次々回は再び商店街。

さあ、子どもたちは夏休みが始まりますね。

忙しくなりそうです。

それでは、よい週末を!

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