今回ご紹介する本は、
手塚 明・大場智博・山村真一(著)/ 構想設計コンソーシアム 監修
『Design Brian Mapping デザインブレインマッピング』(丸善出版, 平成31年, ¥2,800)
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<編者のプロフィール>
手塚 明
国立研究開発法人 産業技術研究所 製造技術研究部門 総括研究主幹
構想設計コンソーシアム会長
(経歴は省略いたします。以下同様)
大場 智博
山形県商工労働部工業戦略技術振興課主査
山村真一
株式会社コボ代表取締役社長
構想設計コンソーシアム
日本の製造業の競争力強化には顧客価値の高い製品・システムの開発のための設計能力の
飛躍的向上が必要であり、設計仕様を決めるまでの設計上流、構想設計が重要という思いを共にする産学官の有志の集まり(本文より)
前回の投稿から、少し時間が空いてしまいましたが、ようやくデザイン思考の本をご紹介することができました。
楽しみながら読めて大変満足できたものの、いざまとめるとなると難しいなと悩みました。
ざっくりした流れを言いますと、「日本の産業界の課題を浮き彫りにし、プロジェクト会議でよく見られる問題、その原因を明らかにし、それらの解決策としてデザインブレインマッピング(以下DBMと略します)を提案する」といった感じでしょうか。
この本の対象読者は、開発に携わっている方々だとは思いますが、私のような一般読者でも十分に読み応えのある本です。随所に絶妙なイラストが描かれていて、現場のイメージでき読みやすかったです。(最後の6章は、専門的な話だったので理解できませんでしたが)。
上記の流れに肉付けするように、デザイン思考に関する情報が豊富に書かれています。これまでブログで紹介したデザイン思考の本を読んでいただいた方には、この本に書かれていることをだいたい理解していただけるのでなはないかと思います。ダイジェスト版といったところでしょうか。イノベーションに関してはUSBの開発者でもある濱口秀司さんについて、このブログでも後々本などでご紹介したいなと思っています。
この本のポイントは抽象的な説明になりますが、一言でデザイン思考やそれに関連したイノベーションの話題によく出てくる用語は、一通りこの本で知ることができるのではないかと思います。この本で重要なポイントといえば「思考の外在化」ではないかと思います。言葉によるコミュニケーション(話す・聞く)の限界を超える手段として、「ビジュアルランゲージ」(書く・読むベースのコミュニケーション)を活用するということのようです。
こういうツールが使えるかどうかは置いておいて、知っているだけでも周りと差をつけることができるのではないかと思います。
「デザイン思考」といえば、付箋を貼るあれだよね?と思われるかもしれませんが、ここで紹介されているDBMは、以下の点で異なるようです。(本書p.155より)
【ランダム性依存ベースの発想手法】(KJ法、ブレインストーミング等の発想手法・付箋紙を用いた手法)・・・企画チームを対象。「イノベ―ティブな」アイデア出しが優先。個人の思考の構造や問題意識を共有できるか否かは、ファシリテーターのスキルに依存。
メゾッド中心主義。
【思考バイアスベースの創発手法】(DBM)・・・企画・実施チームを対象。項目間の関係性を重視し、個人ワークで思考構造を把握する仕組みを意識しており、ファシリテーターやリーダーのスキルに依存しない手法と道具を志向している。メンバー中心主義。
纏めてみましたが、やっぱり難しいですね。私ももう一度読み直してみようと思います。
DBMについては、この本にトライアル版のダウンロードの方法が書かれているみたいです。もしご興味があれば、試してみてはいかがでしょうか。もちろん実行するとなると、チームの合意が必要になるので、そこが一番の課題となるようですが。デザイン思考って、どれくらい浸透しているのでしょうね。
いずれにしても、思考を外在化するというのは、俯瞰ができていいですよね。
私も「俯瞰トレーニングノート」たるものを作って、時々頭の整理に使っています。
このノートを書くときや、受験勉強の際もよく使うのですが、赤・青・緑・黒と4色使いわけて線を引いたり、文字を書いたりするのに便利なペンをご紹介します。ご参考まで。
それでは次回は、ロジカルシンキングの実践編をご紹介しようと思います。
もしご興味がありましたら、お立ち寄りください。
それでは。最後までお付き合いいただきありがとうございました。