<バックヤード>手仕事

1.考える

うちの相方と、「なぜ日本でDXがうまくいかないケースが多いのか?」という

話題になり(たまにはまじめな話もいたします)、私がさもわかったように

「データを読み解くセンスと経験が不足しているからじゃないの?」と答えると、

「いや、それだけじゃない。とことん考えないといけないと思う。」と

相方曰く、ニューロンは何度も繰り返し学習させているのだと。

繰り返し学習する、それを繰返す。

「えー、めんどくさっ」などと、私などは思ってしまいますが、

コンピュータは実に勤勉で賢いのです。

繰り返し考える。おそらくただ同じことを同じやり方で考えるのではなく、

同じことを視点を変えながら考えているのでしょうか。

それじゃあ、人間は人工知能に勝てないのではないか?

そんなことを思ってしまいました。

繰り返し、視点を変えながら、深くじっくり考えること。

スピード勝負のこの時代には、なかなか難しいことかもしれませんね。

50年前の研究者の論文を読むと、その想像力や発想に驚かされることが

あります。その頃は、じっくり深く、そして試行錯誤でよく考えていたっしゃったのでしょう。

先人の知恵を、今こそ学ばなければならないなと思いました。

2.手仕事

大阪 中之島美術館で開催中の「民藝」に行ってきました。

「これが、日常で使われていたなんて、なんと贅沢な」。

改めて、「豊かな生活」とは何か?考えたいと思うようになりました。

そして、それらの品々が人の手によって、丁寧に作られているという、

「作り手」が見える品。大量生産の品々に囲まれた今の暮らしからは、

全く遠い世界でした。

振り返れば、実家には民芸品がちらほらありました。

普段使いというよりは、飾られていました。

幼心に、「これは触ると怒られるに違いない」と

恐る恐る避けていた記憶があります。

芸術品のようには洗練されていませんが、どこか味がある、

不思議な民芸品たちでした。

大人たちは、なぜお皿や器を飾るのか、全く理解できませんでしたが、

今日改めて、人間というのは「美」を身近に置きたい物なのだと、

そうすると「心」が豊かになるのだということが分かった気がしました。

そして、この「美」というものが、人間によってつくりだされた

ということが重要です。

相方が、「現在の民芸品は、自動車とか家電かもしれないな」と言っていました。

「え?手作りじゃないのに?」と聞くと、「作るのは機械でも、デザインや設計は

人が考えて開発されるから、人が造り出したデザインであり、美なんじゃないの」と。

「はー、なるほど・・・。」

それが近い将来、AIがデザインして、設計するようになるかもしれないってことか。

「民藝」から教わったもの、それは「人間回帰」と「日本回帰」。

コンセプトから言うと、バウハウスにも近いのかなとも思います。

「民藝」で見た品々は、日本の伝統を引き継いでいました。

着物や器などの模様など。

そして、人の手によってつくられたからこその、温かみ。

作り手の情報を知って、更に民芸品の価値を知る。

今、この時代において、「民藝」が再び脚光を浴びるのも

必然かもしれませんね。

そして、今私は「イノベーション」について、アウトプットに着目するだけでなく

人間の内側に着目しようと思っています。

人間の「知恵」とか「思考」とか。

『知識創造企業』や『ナレッジイネーブリング』を読んで、

改めて「人間回帰」と「日本回帰」に関心を持つようになりました。

人間の「脳・心・思考そして言語」。とても難しいテーマです。

素人がどこまで理解できるかわかりませんが、イノベーションのヒント

が見つかればいいなと思います。

もちろん、日本式イノベーションも知りたいです。

アイデアは湧き出るのに、思考が置いてきぼり。

考えるのが苦手。

こんな時は、人工知能が相棒になってくれるといいな。

あ、最後にもう一つ。

「思考」とは、研究のレベルでは、

「問題解決、意思決定、推論」の3つに分けられるそうです。

(鈴木宏昭 著 『認知バイアス』p.82より)

大阪中之島美術館 民藝MINGEI  美は暮らしのなかにある より

撮影可のエリアで撮影

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