みなさん、おはようございます。
最近、子どもたちが小さかった時のことをよく思い出します。
初めてつかまり立ちをした時のことを。
子どもが生まれた瞬間の次に、感動しました。
そして、上の子が独り立ちの準備を始めています。
「連休中に料理教えてよ」とお願いされてしまいました。
一応、調理鍋というのでしょうか?材料をセットすれば、調理ができる
便利な調理器具を買ってやろうとは思っていますが。
まずは、チャーハンかな?
あとはカレーが作れれば、何とかなりそう。
まあ、便利な時代ですから、なんとでもなりそうですが。
これから、たくさんのことを教えてやらなければいけません。
子どもって、あっという間に成長してしまうのですね。早くも「ロス」
になっています。
「大丈夫、ブログを生き甲斐にすれば!」と励まされてしまいました。
「はて?いつの間に生き甲斐になっていたのかな?自覚なし」
さて、今回ご紹介するのは
名和高司(著)『CSV経営戦略-本業で高収益と、社会課題を同時に解決する』
(東洋経済新聞社, 2019年, ¥2,400+税)
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まずは著者のプロフィールから
名和高司 氏
一橋大学大学院経営管理研究科客員教授
80年 三菱商事入社
90年 ハーバードビジネススクールにてMBA取得
その後20年間マッキンゼーのディレクターとしてコンサルティングに
従事。
2010年より現職に至る。
一言でいえば、本書は「CSVの手引書」だといえると思います。
あらゆる角度から考察されていて、発案者の、マイケル・ポーター氏の
主張に足りない点も補足されています。私の感想としては、「スキがない」。
日本の方が、このような世界に一歩進んだ議論をされていることに誇りと自信を
持てる一方で、著者が海外と日本を行き来してきたからこそ、日本の長所も弱点も
冷静に把握されていることに感服いたします。
「CSV」や社会課題の解決に関心をお持ちの方には、是非お勧めしたい本です。
本書のすばらしさを十分に表現できないかもしれませんが、ザクッとポイントを
絞ってご紹介したいと思います。
- 1.CSVのメカニズムについて
前回ご紹介した、マイケル・ポーター氏の論文で、「CSV」とは社会的価値と
経済的価値を同時に実現する共通価値であることがわかりました。
本書でも、その具体的事例が幾つか紹介されていますが、私の理解では
大きく分けて、次の2つの方法が挙げられると思います。
- サプライヤーのサポートを通じて、生産性の向上を図る
- 需要者のニーズを満たすことにより、市場の拡大を図る
これらによって、経済的価値が増大する
本書は、日本企業の取組みもご紹介されていますが、最近の日本企業の
「社会課題の解決」への取組みを紹介した記事が下記のサイトにあります。
ご参考まで。
(アサヒとロッテの取組み)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC313860R30C23A3000000/
- 2.課題
とはいうものの、CSVの実現は、決して容易ではありません。
まだ始まったばかりの発展途上の段階であり、手法も答えも模索していかな
ければなりません。本書では、以下のような課題が指摘されています。
- CSVの評価指標をつくることが困難
- 社会課題の解決が経済的価値に効果を及ぼすのに時間がかかる
- 日本の場合「もうける力」が弱点
- 3. CSVを巡る論点
著者がCSVの課題を解決するために必要と思われる以下4つのモデル
を提示している。
- ガバナンスモデル
- ビジネスモデル
- 組織モデル
- J-CSVモデル
- 4. 日本発のCSV(J-CSV)
著者曰く「日本的経営とCSVは本質的に近似している」(p.308)
J-CSVが「実現すれば、異次元の成長が可能となり、
日本経済の再興をけん引することもできる」(p.307)
一方で、日本には弱点があり、これを克服しなければならない。
そのカギとなるのがJIT(「実装」「位相」「梃子」(p.318)である。
- 5. CSV人材を目指す人へのメッセージ
CSVが、NGOやNPOと異なる点は、NGOやNPOは自ら富を生まずに
再分配をするのに対し、企業だけが価値を生み出すことができる点である。
(p.349)
最近の優秀な若者が、NGOやNPOに流れる傾向が世界的にも見られる
という話を聞きますが、この違いを理解したうえで進むべき道を熟考して
いただければ思います。
参考になれば幸いです。
私の感想としては、予想以上にCSVの実現が難しいことと、
日本の場合、馴染みがあるがゆえに正しく理解できていない、
そして、社会課題を解決することは「美徳」だが、それによって
「稼ぐ」というのがどこか「卑しい」ともとらえられかねない
という、道徳観が影響しているようにも感じます。
根気強く、腰を据えたプロジェクトを実行していかなければ
ならないのだなと思いました。
なにより、「CSV」で本当に「稼げるのか」。これが一番の
疑問であり、関心事です。この点については、更に資料を集めて
検証していく必要があると思います。
CSVについては、HBR(ハーバード・ビジネス・レヴュー)でも記事が
紹介されていますが、ここでいったん休憩して、次回は社会課題にテクノロジー
を使って挑んでいるベンチャーのお話を読むことにしましょうか。
それでは、よい週末を!