<Social Inovation>歩いて楽しめるまち

みなさん、こんにちは。

少しの間ご無沙汰しておりました。

こんな時期ではありましたが、予定通り家族旅行へ出かけておりました。

何かあっても心残りはないという覚悟を決めての緊張した旅行でしたが、

旅先の自然や街並み、宿泊先のおもてなしや、お料理、くつろぎの空間に

すっかり癒されて、リフレッシュして帰宅しました。

場所は、広島県と山口県。

哀しい歴史を巡る観光でもあり、技術革新の歴史をたどる旅でもありました。

近いうちに、もう一度行きたいと思います。

山口市は、New York Timesに今年行くべき52か所の一つに選ばれたそうですよ。

また改めて旅行の思い出を記事に挙げようと思います。

さて、それでは読書の方も再開いたしましょう。

今回ご紹介するのは

広井良典(編)『商店街の復権-歩いて楽しめるコミュニティ空間』

(筑摩新書, 2024, ¥1,320)

「商店街」についての書籍をご紹介するのは、2作目となりますが、

みなさんもきっと疑問を抱かれていると思う問いについて整理してみたいと思います。

なぜ、商店街は活気を失ってしまったのでしょうか?

本書にその答えを探すと、以下のような結論がまとめられています。

「地域の人口減少とそれに伴う顧客の減少、店主の高齢化と後継者不足

公共交通から自動車への生活スタイルの変化、大型ショッピングセンターの

郊外進出、中心市街地の空洞化とそれに伴うドーナツ化現象、空き店舗の

増加による衰退の悪循環など、様々な原因が挙げられている」

(第7章 「シャッター通りと耕作放棄地」 加藤 猛(著))

なるほど、そういわれると確かに思い当たることがありますよね。

それでは、商店街が再び活気を取り戻すためには、どうすればよいのか?

時代の流れには逆らえないのでしょうか?

このように、要因が多数で複雑に絡み合っているということもあって、

本章は色々な分野、専門の方が多方面から色々な切り口で、この問題の

解決に取り組んでいるお話が書かれています。

商店街に少し興味があるという方だけでなく、社会学を専攻されている

学生の方にとっても学術誌の一冊として選ばれてもいいのかなと思うほど、

専門的な内容も含まれています。

まずは、本書の著者の方々のご紹介から簡単にしたいと思います。

広井良典(編者/はじめに・第1章) 京都大学人と社会の未来研究院教授

遠藤 浩規(第2章)経済産業省近畿経済産業局総務部総務課長補佐

千葉啓介 (第3章)株式会社スピーク(東京R不動産)勤務

今井隆太(第4章)日本商工会議所事務局

神崎浩子(第5章)商店街創生センター職員

前田志津江(第5章)京都府商工労働観光部労働政策室企画参事

宇都宮浄人(第6章)関西大学経済学部教授

加藤 猛(第7章)京都大学オープンイノベーション機構日立京大ラボ特定准教授

小池 哲司(第8章)株式会社ダイナックス都市環境研究所主任研究員

ご覧いただいた通り、様々な分野の方々が「商店街」について研究されたり、

支援されたりしています。

著者がそれぞれ色々な提案をされていますが、総じていえることは

従来の「商店街」は、一般的に個人商店が集まったどちらかというとうちに閉じた

集合体であったと認められるのですが、本書を通じて、「開かれた商店街」が望まれる

ことがわかります。

外部からの意見を取り入れたり、無印良品の例やリノベーションの話など、

外部からの積極的な支援も必要なようです。

本書には、その他にも商店街を元気にする取り組みが、アイデア豊富に紹介されています。

商店街の方にも是非お勧めしたい本ですし、私たち消費者も買い物の意味を

問い直す機会になる一冊ではないかと思います。

私の住んでいるエリアから商店街は離れているのですが、本書を読むと

うらやましいなという気持ちになります。

年齢を重ねるにつれて思うことは、買い物と病院が近くにある所に住みたいと。

いえ、子どもが小さかった時もその方がよかったのだろうなと思います。

今回改めて「商店街」について読んで感じたのは、商店街だけの問題ではなく

「まちづくり」の一環として「商店街」をとらえなければならないということです。

確かにモビリティ社会にはなりましたが、一方で「買い物難民」という深刻な問題も

生まれています。

快適で住みよいまちづくりに関心が強まります。

本書の第一章で、アメリカとヨーロッパ・日本の比較がされています。

非常に興味深かったのは、ドイツもかつては「モータリゼーション」が

進み、交通事故の増加や大気汚染の問題等が指摘されるようになり、その反省から

歩行者中心の都市づくりに向けた政策転換がすすめられていったとのことで、

今日ドイツでは都市の中心部に自動車が完全にシャットアウトされ、

人々が「歩いて楽しめる」空間が作られているそうです。

この記事のタイトルに挙げたように、私は「歩いて楽しめるまち」

すなわち「ウォーカブルシティ」をまちづくりの理想だなと思いました。

郊外型の大型ショッピングモールも確かに魅力的で、若い世代や

若い家族連れにはゆっくりショッピングが楽しめて、憩いの場所だと思います。

私もこれまで恩恵をたくさん受けてきました。

一方で車を手放した高齢者世帯をはじめ、買い物弱者が安心して暮らせる

まちづくり、その一環として「商店街」の役割を見直す機会が必要だと

本書を読んで改めて感じました。

徒然なるままに書き、メリハリのない文章になりましたが、

「商店街」のことを知りたい、どうすればよいか考えたい、

これからの消費社会について考えたいという方にはお勧めの一冊です。

私は電子版で購入したのですが、あとで読み返すとき慣れていないせいもあって

苦労しました。紙の本も欲しいなと思っています。

少し先になりますが、次の社会課題として「まちづくり」に関する本も

ピックアップしたいと思います。

次回は生成AIについて、改めて勉強したいと思います。

それでは、よい休日を!

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