みなさん、おはようございます。
久しぶりに本紹介の記事を書くので、少々肩に力が入っております。
今回ご紹介するのは
アリス・ローソーン(著)/ 石原薫(訳)
『HELLO WORLD』(フィルムアート社, 2014年, ¥2,600+税)
著者のアリス・ローソーン氏は『インターナショナル ニューヨーク・タイムズ』
(『ニューヨークタイムズ』の国際版)紙のデザイン評論家です。
本書は、かなりボリュームのある本で中身も濃厚でした。
このブログでは、気の利いた書評もわかりやすい要約も
得意としておりません。
なので、今回も私がこの本を読んで感じた率直な感想を
並べてみたいと思います。
(1)私たちに、なぜ「デザイン」が必要なのか?
その答えを、たくさんの事例を交えながら説いています。
この本を読んだ後、世界を少し違った視点から見ることが
できるようになると思います。
(2)「デザイン」はまるで魔法のよう
私たちは、知らず知らずのうちに「デザイン」から影響
を受けています。
その影響から逃れることはできません。
ありふれた「モノ」でさえ、ひとたびデザインの魔法
にかかれば魅力的な商品へと変身するのです。
(3)「デザイン」は、「モノ」に命を吹き込む
モノが生まれ、末永く残っていくモノもあれば、
いつの間にか消えていくモノがあります。
それは、生物の「進化」と「衰退」「滅亡」の如しです。
生き残る「モノ」を作り出すのか、一時輝きを放ちやがて
朽ち果てていく「モノ」を作り出すのか?
それは、デザイナーの腕次第なのかもしれませんね。
一方で、人間がつくりだしたモノが有害物質となり、
やがて私たちに害を及ぼす存在になることも、
深刻な問題となっています。
「エコ」という観点から、「モノ」を作り出すという、
超自然的な視点が「デザイン」には必要になります。
(4)「デザイン」は「モノ」のDNA
「DNA」とは生物のいわば「設計図」です。
デザインも、モノやコトの「設計図」のようなものでは
ないかと考えます。
人間を例にするなら、DNAは私たちの体のパーツをデザインします。
しかし、形が出来上がったとしても、それだけではまだ完成しません。
形が同じだけであれば、「マネキン」だって「人間」と定義できてしまう
のですから。
そこに命が吹き込まれる。
そして、人間の体は健康であればうまく機能するように、
各器官が機能的に働きます。
局所最適解ではなく、全体最適化を図るDNAは、まさに理想の
「デザイン」と言えるのではないでしょうか?
本書の後半に、デザインの多くは10%の「富める者」のために
描かれていると書かれています。
残り90%の人達を救うためのデザインが必要だと。
人類全体にとって優れた「デザイン」を描く必要がある
のではないかと、そんな大きなことを考えました。
今日も新商品が生まれ、一方で長く愛された商品が消えていく。
時代と共に、価値観も求められるデザインも変わっていく。
それでも、数世紀を超えても愛されるデザインとは何なのでしょう?
その答えこそ、日本が今見つけなければならないものなのでは
ないでしょうか?
本書を読み終えて、改めて「デザイン戦略」は大事だなと思いました。
「イノベーション編」「ソーシャルイノベーション編」に加えて
「デザイン編」という3つの柱で行こうかなと検討中です。
さて、次回の本紹介は「ソーシャル・イノベーション」に関する本
にしようと思います。
今週は忙しかったのですが、週末もやることがたくさん。
桜が咲いたら、桜の木の下でゆっくりコーヒーでも飲みながら
観賞したいです。
それでは、よい週末を!