HELLO ,DESIGN

ブログ第一回目にご紹介する本は

石川俊祐 著 『HELLO, DESIGN – 日本人とデザイン』

(幻冬舎,2019年,1400円+税)

HELLO,DESIGN 日本人とデザイン (NewsPicks Book) [ 石川俊祐 ]
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(このブログでは著作権に配慮して、表紙の写真は掲載いたしません。アマゾンなどでご参照ください)

「あれ、問題解決の本を紹介するんじゃないの?」と意外に思われる方もいらっしゃれば、察しのよい方はすぐにお気付きになられることでしょう。

書店ではあまり目にすることのない本ではないでしょうか?

私がこの本を手にしたのは、書店ではなく図書館でした。ビジネスコーナーではなく、アートやデザインに関するコーナーで偶然見つけました。(最近はビジネスコーナーに置かれています)。ひときわ鮮やかな黄色の表紙に、赤字で書かれたタイトルがとてもスタイリッシュに見えて、思わず手に取って読んでみると、それは「デザイン思考」について書かれた本だったのです。なぜDESIGN THINKING としなかったのか?この本を読み終わった後に納得しました。

皆さんは「デザイン思考」について、ご存知でしょうか?日本でも割と周知になってきていて、今さらだよね、と思われるかもしれませんが、一応私が調べた定義などもご紹介しておきます。

「デザイン思考とは、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である」(ウイキぺディアより)

ハーバート・サイモン著『システムの科学』が起源とされるそうで、大枠としては

「トップデザイナーたちが実践している思考法を抽出し、理論化し、それぞれの仕事(企業経営や商品開発はもちろん、営業やマーケティングに至るまで)に転用することによって、

これまで誰も思い浮かばなかった、優れた答えを導き出す-。」(石川俊祐「HELLO, DESIGN」より抜粋)

手法のことだそうです。

デザイン思考といえば、IDEO(デザイン・コンサルティング・ファーム)について触れなければいけないのですが、ここでは割愛して,この記事の最後にIDEOに関する書籍を挙げるに留めます。

 前置きが長くなりましたが、今回紹介する「HELLO, DESIGN」の魅力について紹介したいと思います。

著者である石川俊祐氏は、ロンドン芸術大学卒業後、パナソニックに入社、その後イギリスに戻りデザイン・イノベーション・会社PDDを経て、IDEO Tokyoの立ち上げに携わる。2017年にAny Tokyoを立ち上げたそうです。

 デザイン思考に関する本は、今では書店でも多種多様なものが置かれるようになったのですが、私が初めてデザイン思考に関する本を読んだのは、Tom Kelly (IDEOのゼネラル・マネージャー)with Jonathan Littlemanの「イノベーションの達人!」という本でした。非常にセンセーショナル本で、これは素晴らしい、新しい発想だと思ったのですが、自分の乏しい想像力を駆使してどうにか読み終えたもの、残念ながら私の知能では消化不良でした。デザイン思考は、大変素晴らしい問題解決法なのはわかったが、では素人が一体どうやって実践できるのだろうか?結局のところ、IDEOのようなプロフェッショナルなコンサルティング会社に依頼するしかないのではないかというのが、当時の感想でした。

 その後偶然見つけた、この「HELLO, DESIGN」は実に読みやすく、消化不良だったデザイン思考のことが、そういうことだったのかと腑に落ち、少しハードルが下がった気がしました。

デザイン思考に関する書籍が数多くある中で、本書の魅力はまず、著者である石川氏が経験豊富なデザイナーであることです。難しい理論が書かれているわけではなく、デザイナーの目線でありながら、非クリエイティブな読者にもわかりやすく書かれていて、自分がその場面に同席していたらどんな提案をするだろう、などと想像しながらどんどん引き込まれていき、なるほどそういう解決策か!お見事!!と思わず感動してしまうのです。

「デザイン思考」という言葉を初めて知った方はもちろん、すでに何冊か本を読まれた方も、この本をお勧めしたいと思います。わかったような気がしても、いざ実践しようとしてもハードルが高い、でもこの本をきっかけに私もちょっとしたデザイン思考を試して、それによる小さな成功を経験することができました。その話は、また機会があれば。

もう一つのポイントは、私たちと同じ日本人の方が書かれたことで共感を覚えるのかもしれません。デザイン思考というと、異文化の手法を日本に拝借してもなかなか根付かないような印象を持ちます。しかし石川氏が示唆するように、デザイン思考は本来日本人が知らず知らずのうちに身につけている感覚なのかもしれません。私たちは、無意識を意識に変えることで、デザイン思考を習得できるのかもしれませんね。石川氏の、日本にもデザイン思考を広めたいという、熱のこもったメッセージに賛同して、この本をブログで最初に紹介する本として選びました。DX時代には特にこのデザイン思考は相性がいいと聞きますし、これからますます浸透していくことが期待できるかもしれませんね。

 石川氏の言葉を引用すると、「質の高い問こそが質の高いソリューションを生み出します。」と書かれていますが、これこそがデザイン思考の本質なのではないかと思います。この「質の高い問い」については、次回紹介する本にも関係しているので、その際に触れたいと思います。

それでは、稚拙な文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

デザイン思考に興味を持たれ、より深く知りたいという方に少しだけ参考文献を紹介します。

1. ハーバート・A・サイモン著/稲葉元吉・吉原英樹訳『システムの科学』」

   (パーソナルメディア, 2000円+税)

システムの科学第3版 [ ハーバート・アレクサンダー・サイモン ]
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2. トム・ケリー&ジョナサン・リットマン著『イノベーションの達人- 発想する会社をつくる10の人材』(早川書房, 2500円+税)

 

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3.棚橋 弘季『デザイン思考の仕事術』(日本実業出版社, 1500円)

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4.佐宗 邦威 『デザイン思考の授業』(日経BPマーケティング, 950円+税)

世界のトップデザインスクールが教える デザイン思考の授業 (日経ビジネス人文庫 B さー20-1) [ 佐宗 邦威 ]
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