みなさん、こんにちは。
最近気になっているのは「男性脳と女性脳」のこと。
学生の頃、適職検査をしてくれたあの友人が、
今度は男女脳の診断をしてくれたことがありました。
分析するのが好きだったのかもしれませんね。
その時と比べて、今はどうなのだろうかと思って
なんとなく今朝自分でチェックしてみましたが、
ほとんどその通りだったなとわかりました。
またこの話は、改めて別の機会に。
さて、今回のテーマは「広場」です。
ご紹介する本は
小野寺 康(著)『広場のデザイン』(彰国社, 2015年, ¥2,500+税)
です。
本書をご紹介する前に、なぜ「広場」というテーマを選んだのか、
まずはそのことに触れたいと思います。
以前ご紹介した『商店街の復権』(広井良典(編))(筑摩eブックス)
の中で、広井氏によると
「ヨーロッパにおいては、地方の中小都市においても「商店街」が
地域にしっかり根付いた形で存続し、活気あるにぎわいを示しており
子どもから高齢者まで、様々な世代がゆっくりとくつろいで
過ごせる「コミュニティい空間となっている」(『商店街の復権より抜粋)
とのことです。
これを読んだとき、頭に浮かんだのが「広場」という空間でした。
日本において、「広場」とはどんなイメージでしょうか?
何もない、空き地のような空間?子どもの遊び場?
ウィキペディアによると
「広場は、広く開けた場所。特に都市等において集会やリクリエーション
などの機能をもつよう設計された広く平らな場所」と書かれています。
そこで、『広場のデザイン』を開くと、ヨーロッパやアメリカのさまざまな
広場が紹介されてるのを目にして、描いているイメージとは全く異なることに
気が付くのです。
著者の小野寺康さんは、ご自身を「都市設計家」と呼んでおられます。
そして、本書は都市設計家による設計の実践書であると書かれています。
そして、「日本を含め世界中の魅力的なにぎわい空間を視覚的に
紹介しながら、賑わいを作るための要素がどんなところにあるのか、
どうすれば魅力的な空間が生まれ、都市に活力が生まれるのかを
考察したものだ」(p.4)
と書かれています。
地方都市だけでなく、日本全体において都市市街地の空洞化が問題となっています。
著者も、この問題をデザインによって解決できるのか、挑戦をされているようです。
ここで「広場」という概念に再び立ち返ってみると、偶然にも前回ご紹介した
黒川紀章氏の著書『ホモ・モーベンス』(中公新書)でも「広場」について
触れられています。
実は「広場」というヨーロッパの設計技術は、日本には普及しなかったとか。
これに相当するものが、日本では「道」だと、黒川紀章氏は述べておられました。
小野寺氏は、「参道」ととらえているようです。
私自身も、「城下町」とか「街道」は馴染みがあるので、決してにぎわいのある場所では
ありませんでしたが、なんとなくイメージが沸きます。
本書で取り上げられている、日本のにぎわい空間もやはり「道」が多いように思われます。
本書は、プロのデザイナー目線で様々な「にぎわい空間」を解説されているので、
「広場のデザイン」に興味のある方には、大変丁寧な実用書であると思います。
素人の私には、専門的な話になるとイメージが全く湧かなくて残念でした。
にぎわい空間とは、経済活動が活発化するだけでなく、地域の人たちの「誇り」を
デザインするという著書の言葉に、奥深さを感じました。
著者自身が手掛けたプロジェクトもいくつか紹介されていて、
例えば「門司港駅前広場」など、確かにヨーロッパのように庁舎があり駅があり、
それを囲むように広場がある、という美しい設計がされています。
私自身の関心は、この「にぎわい空間」が人々にどんな効果をもたらすのか、
人の流れが変わるのか、訪れる人が増えるのか、あるいはそこでの滞在時間が
長くなるのか、など具体的な数値で表せるといいなと思いました。
勿論本書は設計のプロの方なので、その指標はまた別の専門の方にお任せしなければ
なりませんが。
「広場」という概念が、まだまだ新しい概念だと思うので、この本が広く読まれ
広場でなくてもいいので、「くつろぎ空間」という概念が浸透するといいなと思います。
そして、「くつろぎ空間」の中で、商店街が根付いていくといいなという淡い期待を
持つ次第です。
さて、それでは次回は「生成AI」に関する書籍を読みたいと思います。
もう一冊「生成AI」の本をご紹介する予定でしたが、貸出してしまったので
予定が変更するかもしれません。
そこは柔軟に対応します。
それでは、また。