<イノベーション・マネジメント入門 第6章~8章>

みなさん、こんにちは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

先日、大学の同期たちと再会することができました。

みな口をそろえて出てきた言葉が「あの頃、もっとちゃんと勉強すればよかった」と。

そういいながらも、みな各方面で活躍していて、各々が今も勉強を続けていました。

私も感心している場合ではない、頑張らねばと刺激をもらいました。

さて、今回も引き続き同書の内容をご案内させていただきます。

まだしばらく同書の紹介が続きますが、お付き合いいただければ幸いです。

第6章 イノベーションとアントレプレナーシップ

アントレプレナーシップは日本では「企業家精神」と訳され、「精神論」にばかり焦点が絞られてきたが、本書では「企業家が現在管理している経営資源にとらわれることなくビジネス機会を追求する程度」と定義する(p.144)。

アントレプレナーシップは、企業の規模やその歴史に関わらず、すべての企業にとって重要で、イノベーションを生み出すには、不可欠な要素であり(P.162)、イノベーションの研究のフロンティアとして、今後の大きな展開が期待されている。

私が注目するキーワードをご提示します。

・ベンチャーキャピタル

・労働市場の流動性

・サブマーケット

・組織内のアントレプレナーシップによるミドル・マネジメント

・コーポレート・ベンチャー・キャピタル

第7章 イノベーションを実現する資源動員と知識創造

企業に非連続的な成長をもたらすイノベーションを実現するためには、高い不確実性下で革新活動へ継続的に資源を動員する「資源動員」と、動員された資源を結合して新たな知識を創造する「知識創造」という、相互に不可分の2つの活動が要求される(p.165)。

本章では企業によるイノベーションの実現のメカニズムを提示するとともに、その課題と挑戦を浮き彫りにする(p.165)。

事例:東レによるPAN系炭素繊維のイノベーション

   ソニーの非接触ICカードシステム、Felica(suicaなど)

   カシオのQV-10

   日東電工による逆浸透膜の開発

注目するキーワード

・資源動員の壁の克服

・資源動員を可能にする3つのルート

・「アイデア創出プロセス」と「アイデア実現プロセス」

・個人的な資質とクリエイティビティ

・組織のクリエイティビティ

第8章 新製品開発のマネージメント

どんなに革新的なアイデアであっても、それが顧客のニーズを満たすような製品やサービスとして結実しなければ、社会に生み出すことができず、イノベーションは実現しない。(p.185)

製品とは、一般に、さまざまな物理要素(材料や部品)を結合して、顧客にとっての価値を実現する機能を特定の空間に配置してパッケージ化した「解(ソリューション)」である。

(p.185)

また、製品は、顧客が使用の文脈で引き出す「価値」、その価値を実現する「機能」、そしてその機能を実現するための「物理要素」という3つの層から構成され(p.1869、「新」製品開発とは、これらの3つの層に新たな結合パターンをつくりだすことだと考えることができる。(p.187)

本章では、新しい製品やサービスが開発されるプロセスや組織のマネジメントを議論する。

(P.185)

注目するキーワード

・新製品開発の2つの側面

  1. 顧客価値を実現化する機能の設定:価値層と機能層の結合の側面
  2. 機能を実現する物理要素の結合:機能層と物理層の結合の側面

・「価値-機能」の関係が持続的で、「機能-物理要素」の関係が画期的な変化を伴う場合

・「機能-物理要素」の関係が持続的で、「価値-機能」の関係が画期的な変化を見せる場合

・顧客が抱えるボトルネックの発見

・「破壊的技術」

・製品アーキテクチャーの設計

・開発ステージの重複の程度

・情報転写・問題解決のタイミング

・3次元CADの影響

・「重量級プロジェクトマネジャー(HWPM)

個人的には製品の開発に携わったことがないので、8章が特に難しかったのですが、重要な

内容が書かれているように思いました。

ここまで本書を読んで、なんとなくイノベーションの輪郭が見えてきたように思います。

予想以上に複雑ですね。

次回も引き続き、ざくっとご紹介していきます。

それでは、きょうはここまでにします。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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<イノベーション・マネジメント入門>第3~5章

みなさん、こんばんは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

今回も、引き続き『イノベーション・マネジメント』のご紹介をさせていただきます。

昨日今日と情報処理の勉強の遅れを取り戻そうと奮闘しながら、読書もなんとか進めました。情報処理試験、かなり難しいです。10月の受験を断念して、春を目指します。

さて、早速ですが本書の第3章から要点をピックアップしてご紹介したいと思います。

第3章 イノベーション企業の栄枯盛衰

「イノベーションは、新しい市場機会を創造し、企業に新しい成長機会と市場地位をもたらしてくれる。その一方で、企業の市場地位を低下させ、企業を淘汰させる脅威としても機能する」(p.51)

本章では、イノベーションと企業の栄枯盛衰の関係を解き明かしていきます。

・「先行者の優位」と「後発者の優位」とは?

・利益確保の可能性(先発者の自らつくり出したイノベーションの果実を、どの程度自分のものとして確保できるか)

・変化をもたらすイノベーションのタイプ

  「斬新的イノベーション」と「急進的イノベーション」とは?

・「能力増強型イノベーション」と「能力破壊型イノベーション」とは?

・変革力から見た4つのイノベーションのタイプ

・顧客との関係性

 「既存の重要顧客の声に耳を傾けつつも、将来自社の重要顧客となりうる顧客の声にも

耳を傾ける必要がある」(p.72)

・なぜ既存企業はイノベーションがもたらす環境変化にうまく適応できないのか?

→ここは個人的に特に重要だと思います。

 「大企業病」と呼ばれる「病理の構造」に着目すると、「個人の意思決定バイアス」、

 「集団の力学」という2つの要因が指摘されます。

・「イノベーションの競争インパクトを検討するには、単に技術の優劣を検討するだけで

 なく、技術と社会の関係性にも注意する必要がある」(p.79)

第4章 産業とイノベーション

1.なぜ産業ごとに違いがあるのか?

産業界で売り上げに占める研究機関の水準(研究開発集約度)の格差は大きい。

例えば自動車産業では、世界の主要企業の研究開発集約度はほぼ5%水準であり、

一方医薬品産業では15~20%の水準である(p.80)。

またイノベーションの方向性も産業間で大きく異なる。

加えて、国際競争力のある企業が特定の国に集中して立地する傾向がある。

本章では、これらの違いが生じる要因を理解する必要な産業レベルでのイノベーションの過程や、そのパフォーマンスを決定するメカニズムを考察しています。(P.81)

第5章 イノベーションの測定

イノベーションの測定方法として、「生産性の測定」「需要関数の推定」「特許データ」

「学術論文」などが挙げられます。

ただし、イノベーションを定量的に評価するうえで完全な測定方法、そして指標は存在しないことが指摘されています。

4章・5章は経済学のモデルが度々登場するので、馴染みのない方は抵抗を感じるかもしれませんが、気にせずざっくり読まれるとよいかと思います。実務で使われることはきっとないように思いますので。個人的には、第3章は重要な内容だと感じたので、細かくポイントを挙げさせていただきました。

ここまでが“第一部 イノベーションの全体像” です。

しばらく同じ本が続きますが、もしよかったらお立ち寄りください。

それでは、引き続きよい週末を!

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【休日企画】手帳術

みなさん、こんにちは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

最近うちの相方にもいわれたのですが、もっと素の自分も出してみたらどうと。

例えば「アニメワンピースの考察」とか。できることならそうしたいけど、そこまで

研究できていない。というか、登場人物の名前が、まず覚えきれない。

確かにこのブログ、まだ自分らしさを出し切れていない気がします。「よそ行き顔」というか。

まだ緊張するし、本とか情報を紹介する側も商品イメージを損ねてはいけないので、一応自分もそれらしく振舞わないといけない気がして、どこかかっこつけている気がします。

ブログって、難しい・・・。

普段通りというと、よく関西のローカル番組を見ます。

土曜日は「住人十色」(ご自宅訪問)という番組と、日曜日は「やすとものどこいこ?」(お買い物バラエティ)が好きです。「ほんわかテレビ」(情報バラエティ)も時々見ます。

関西で活躍されている芸人さんでいうと、「笑い飯」が好きです。

動画は「建築家二人暮らし」さん、あとうちの相方の影響で鉄道系Youtuberの西園寺さんの動画も時々隣で聞いています。

私の情報はいらなかったかもしれませんね。大変失礼いたしました。

自分らしさを開放(?)したところで、さて10月はどうも来年の「手帳」が書店や文具店に並び始める時期みたいですね

皆さんはスケジュールをスマホやタブレットなどで管理されるデジタル派ですか?それとも私のように、アナログ派でしょうか?もしくは両方を活用されていますか?

最近私もアナログとデジタルの両立を模索し始めています。

そんなこんなで、この本を本棚から引っ張り出しました。

館神 龍彦(手帳評論家)(著)

『最新トレンドから導く手帳テクニック100』

(株式会社枻(えい)出版社, 2018年, ¥1,500)

【中古】【古本】最新トレンドから導く手帳テクニック100 新しい手帳の選び方・使い方がわかる!手帳マイルールが作れる! エイ出版社 舘神龍彦/著【コンピュータ パソコン一般 iPhone、iPad、iOS】
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なにしろ「手帳評論家」ですから、私たちがあまり知らないような使い方が紹介されています。新しい手帳の使い方を模索されている方にお勧めです。なかなか奥深いです。

手帳の使い方だけでなく、それに関連する書籍の紹介や筆記具の紹介もされています。

メインはアナログの手帳ですが、アナログとデジタルの使い分けについても紹介されています。

みなさんのスマホ(タブレット)の活用術も、機会があればお聞きしたいです。

それでは、よい週末を!

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<イノベーション・マネジメント~第1章から第2章>

みなさん、こんばんは。

今回もご訪問いただき、ありがとうございます。

今週は読書に時間がなかなかかけられず、スロースタートになっております。

ところで、もうすでにこの本をお手元にお持ちのかたはいらっしゃいますでしょうか。

うっかりして、予告で書き漏れがあり申し訳ありません。私が手元に持っているのは、

第2版の方です。第1版と内容が若干違うかもしれませんが、ご了承ください。

本書を全部読み終えてから投稿しようと思ったのですが、とても時間がかかりそうなので、

表題の通り、やっぱり小出しでご紹介することにしました。

しばらくこの本の紹介が続きます。ご理解のほど、宜しくお願いします。

また私事ではございますが、ブログを始めてから確か今日で3か月になるかと思います。

もし、このブログを7月から継続して読んでいただいている読者の方がいらっしゃったとしたら、心より厚くお礼を申し上げます。また本日もご訪問いただいた皆様にも感謝いたします。

それでは改めて,今回ご紹介するのは

一橋大学イノベーション研究センター(編)『イノベーション・マネジメント(第二版)』

(日本経済新聞出版本部, 2017年, ¥3,600+税)

本書はボリュームもあり内容が盛りだくさんですので、少しずつ重要だと思われる箇所を

ご紹介していこうと思います。抜粋が続きますが、ご寛容にお願いします。

まずは、「イノベーション」の定義から見ていきましょう。

イノベーションといえば、古くは経済学者シュンペーター(Schumpeter)が、彼の書物でこう定義しているようです。

「イノベーションとは、知識や物、力を、従来とは異なったかたちで結合する「新結合」である」と。

彼は、この「新結合」には次の5つがあると説明しています。

  1. まだ消費者に知られていない新しい商品や商品の新しい品質の開発
  2. 未知の生産方法の開発(科学的発見に基づいてもいいし、商品の新しい取り扱いも含む)
  3. 従来参加していなかった市場の開拓
  4. 原料ないし、半製品の新しい供給源の獲得
  5. 新しい組織の実現

(本書P.2~3より抜粋)

本書では、イノベーションを「社会に価値をもたらす革新」と定義し、「価値」と「革新」という2つの側面からとらえていることが特徴(p.3)だそうです。

第2章では、イノベーションの歴史として、イギリスの「産業革命」とアメリカの「ビッグビジネス」の出現について紹介されています。

イギリスの産業革命は、偉大な発明家が存在し、彼らの発明によって社会が大きく変革していったという印象を持つが、実際には非常に長い時間をかけて累積的なイノベーションが積み重なって起こった(p.22)と記述されています。

累積的なイノベーションとは、「1つの技術が突出することによって不均衡が生じ、それを

解消するために他の工程あるいは技術が進歩し、またそこで新たな突出が生まれていった(p.24)」ということのようです。

では、なぜイギリスで産業革命が起こったのか?

特許制度(知的財産権を保護する制度)の確立と、資本に対する相対的な賃金の高さなどの要因があったようです。

一方、アメリカでは19世紀後半に巨大企業が出現します。

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーによって設立されたカーネギー・スティールやジョン・ロックフェラーに率いられたスタンダード・オイルなどのビッグビジネスの登場により、イノベーションは必ずしも技術的なものを源泉するものではなく、組織的な改革も源泉となることも明らかになった(p.31)

そして経営資源の内部化(研究開発機能の内部化)を行うことにより企業は大きく成長し、その一方で、企業の既存の能力を破壊するようなイノベーションを生み出すために、経営資源の外部化(オープン・イノベーション)の動きが90年代から見られてきた。(p.45)

以上の流れから、「技術それ自体の新規性だけでは、大きな価値の創造が難しくなってきている。企業の戦略や組織、あるいは補完技術やデザインなどの相対的な重要性が大きくなっているようである。」(p.459

以上が、1章から2章までの、私が重要だと思う箇所の抜粋です。

次週も引き続き、読み終わったところまでご紹介したいと思います。 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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【予告】<イノベーションの教科書>

みなさん、こんにちは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

「「イノベーション」を5つのカテゴリーに分けて紹介することにしたけど、どうかな?」と友人に相談したところ、「それって個々がどう繋がっているの?どういう階層になっているの?人体に例えるとどうなの?」と散々ダメ出しをされました。

もうたじろぐばかりの私。いや、私が聞きたかったのは、この分類でよかったのか、ってことなんだけどな・・・。

一晩考えて、歩きまわって、そして思いついた人体のたとえは、以下のようになりました。

  1. 理論(body)からだ
  2. 組織論(hart/mind)心
  3. テクノロジー(hands)手/足
  4. 思考(head/brain)頭/頭脳
  5. 美意識+α(eyes)目

みなさんは違う意見をお持ちかもしれませんが、各々のイメージでとらえていきましょう。

ちなみに、「さばく」と書いてしまったので、魚をさばいて、頭としっぽ、骨と切り身に分けるイメージになったかもしれませんが、私のイメージでは、巨大な石の塊を色々な方向から掘って彫刻を作り上げるようなイメージでおります。なんのこっちゃ(なんだそれ?)ですよね。

そういえば、むかーし「経済史」のような本を読んだときに、経済学のもとになる考えを築いたのは、医師たちだったとか、確かそんなような話を読んだ記憶があります。

経済という、目に見えない実体のないものを、人体になぞらえてとらえたのか。

さて前置きが長くなりましたが表題のごとく、今回は私が書評(?)をする前に、

事前にこれからご紹介しようと思う本を「予告」いたします。

一橋大学イノベーション研究センター〔編〕『イノベーション・マネジメント入門』

(日経BP 日本経済新聞出版本部, 2017年,¥3,600+税)

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です。

「は?」と思われるかもしれません。大変邪道ではありますが、この本はかなりボリュームもあるうえ、私も今月から時間的余裕が厳しくなる見込みです。間違いなく今週中の投稿は絶望的です。

この本は、イノベーションの全体像をつかむことができる、教科書としてぴったりの本だと思います。私は、1,2年前に半分くらいまで読みましたが、受験勉強で忙しくなり以来本棚にしまいこんでいました。初学者にも読みやすく、幅広いテーマを扱っていると思います。

私の書評なんて待ってられないよ、という方、一緒に勉強しよう!という方、よかったら先に試し読みなどされてご検討されてはいかがでしょうか。私の投稿を読んでからでいいよ、という方もいらっしゃいましたら、大変ありがたいです。

私も亀の歩みかもしれませんが、ゆっくりじっくり読んでまとめようと思います。

それでも休日企画は投稿したいと思っています。

もしよかったらお立ち寄りください。

それでは、また。

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<デザイン思考の進化>

みなさま、こんにちは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

ついにデザイン思考、最終回ですね。もしかしたら、今後の動向次第でまたご紹介するかもしれませんが。ホッとしている反面、やはり寂しいものを感じます。

うちの下の子が最近、私がブログで紹介している本を「大学生になったら読むから、きれいに保管しといてね!」と、うれしいことを言ってくれるようになりました。

「いやいや、君が大学生になる頃には電子書籍が当たり前になっているのでは・・・」。

今回ご紹介するのは

Harvard Business Review  “デザイン思考の進化“ (April 2016)

(ダイヤモンド社, ¥2,060)

少し古い論文集にはなりますが、『本質』に新しいも古いもないはず、と思い、これを締めくくりの一冊に選びました。

特集「デザイン思考の進化」が組まれていて、以下の4つの論文と2つのインタビュー記事が掲載されています。

〔1〕「デザイン思考」を超えるデザイン思考 / 濱口 秀司(ビジネスデザイナー)

〔2〕サムスン:デザイン思考から何を得たのか

 / ヨー・ヨンジン(テンプル大学フォックススクール・オブ・ビジネス教授

 /  キム・ギュンムク(サムスン電子コーポレートデザインセンター 主席デザイナー)

〔3〕【インタビュー】ペプシコ:戦略にユーザー体験を

〔4〕IDEO流 実行する組織のつくり方

 / ティム・ブラウン(IDEO CEO 兼 社長)

 / ロジャー・マーティン(トロント大学 ロットマンスクール・オぶ・マネジメント教授)

〔5〕デザインの原則を組織に応用する

/ ジョン・コルコ(ブラックボード バイスプレジデント)

〔6〕【インタビュー】はたして、論理は法相の敵なのか / 野矢茂樹(東京大学大学院教授)

まずはトップバッターの濱口氏の論文について、重要と思われるポイントを押さえておきたいと思います。

「デザイン思考」からイノベーションは生まれないのか?

 濱口氏は「デザイン思考」を2種類に分類します。

DTn (Design Thinking driven by needs / ユーザー中心のデザイン)

DTf (Design Thinkig driven by framworks / クリエーター中心のデザイン)

前者がユーザーニーズの本質をつかむことを最も重視するのに対し、後者はクリエーター、

すなわち業界のプロの企画者たちが陥るバイアス(先入観)を探すためのフレームワーク作成が肝心となる」(P.32より)といいます。

「次に、そのフレームワークからバイアスを見つけ、それを破壊するアイデアを生む。・・・・」

(p.32より)

こういった過程が、イラストを交えて可視的にかつ論理的に説明されています。  

初めてこの論文を読んだときは、頭の中がよじれるというか、もう訳がわかりませんでした。

このブログを通じて私なりに成長できたのか、今回改めて読み直してみて、実はとても論理的にわかりやすく書かれていたことがわかりました。2軸思考に慣れたのかもしれません。

みなさんはいかがでしょうか?

説明を読むと、なんとなくわかるような気がするのですが、実際に実行するのはとても

難しいように私には思えます。

例えるなら、(例えが的確ではないかもしれませんが)メジャーリーグで剛速球を投げるピッチャーからレクチャーを受けて、「こういうフォームで、このタイミングで投げて、こういう球の軌道を描くように投げるといいよ」と説明を受けて、なんとなくイメージは沸くのですが、実際に自分で再現できるかと言われるとそんなはずもなく、その球も速すぎて目で追うことすらできない、そんな印象を持ちます。

そういわれると元も子もないですよね。

「バイアスを破壊するメカニズム」とは?「ストラクチャード・ケイオス(構造・論理と混沌・直感)」を体得するには?

まだまだ難問が残ります。ゆえに、これらを理解するための思考法を模索していきたいと思います。

〔2〕〔3〕の論文とインタビューは、2社が「デザイン思考」を取り入れて組織改革をした結果、業績が好転した成功例が紹介されています。

しかし、全社をあげて「デザイン」の重要性を理解させ、組織改革を行うことは決して容易ではなかったようです。どのように組織改革を行い、成功を収めたのか、参考になるといいですね。

〔4〕ペルーのインテルコープグループのCEOロドリゲス=パストール氏は「ペルーに中産階級を生み出すことで国の経済を一変させたいという大志を抱いていた」(p.68)

彼が仕掛けた「ソーシャルエンジニアリングの大々的な実験とは」?

〔5〕IBMやGE、デロイトやマッキンゼーなどの大手戦略コンサルティングファームなど

デザイン思考を取り入れ始めている企業の今後の課題について考察しています。

デザイン思考は決して万能薬ではなく、適切な期待と現実的な時間軸に沿っていなければならないと提言しています。

〔6〕「論理的思考」というが、「論理」と「思考」は正反対の場所にあると説いています。

思考は飛躍するが、飛躍したものを相手にそのまま投げても伝わらない。

相手に伝えるために、論理が必要になる。両者は補完的な関係にあるように思う。

私たちが新しいものを生み出し、それを広げるには、2つの関係性をどのようにとらえ、どう活かしていくべきか、野矢先生のインタビューからヒントを得たい。

以上、ざっと簡単にまとめました。参考になれば幸いです。

ここで総評を書かないといけないですね。「うーん、悩みます」。

私個人の感想としては、「デザイン思考」が万能薬でないとしても、成功例がある以上は

やはり有効な解決手段であることには違いないと思います。

今の時代のニースにマッチしているのだと。

一方、「0→1」を生むイノベーションには適していないこともよくわかりました。

しかし、ブレストや付箋などのツールは使えるということもわかりました。

あとはイノベーションを生み出す思考をどう体得するか、それが難題だと思います。

思考のトレーニングしかないのかな。

さて今後の予定ですが、「イノベーション」をどういう切り口でさばいていくか、だいたいの方針が決まりました。

  • 理論(イノベーションとは?など)
  • 組織論(イノベーションを生み出しやすい環境とは)
  • テクノロジー論(文系の私には難しいですね。できれば最新のテクノロジーの動向も追ってみたいです。)
  • 思考編(アイデア・思考法)
  • 美意識+α

この5つのカテゴリーで紹介して行こうと思います。全くの我流です。途中で変更するかもしれません。ご了承ください。

詳細はその都度ご説明させていただきます。

長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

次回は少し間隔が空くかもしれませんが、またお立ち寄りいただければ幸いです。

それでは、よい週末を!

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【休日企画】DeepTech (ディープテック)

みなさん、おはようございます。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

今週ご紹介するのは、

丸 幸弘+尾原 和啓(著)

『ディープテック Deep Tech - 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」』

(日経BP, 2019年, ¥1,800+税)

ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」/丸幸弘/尾原和啓【1000円以上送料無料】
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この本を紹介するか正直迷いました。

理由は

  • この本を購入して読んだのは、確か2,3年くらい前だったはず。時間が経っているので情報がふるいかもしれない。
  • 最近このタイトルの本をすっかり書店で見かけないけど、ブームは一時的なものだったのではないか?

それで最新情報を調べてみたところ、Deep Techは今も継続していて、注目もされているようです。

ですが大変申し訳ありませんが、文系の私ではこの「テクノロジー」が皆さんにとって役に立つ情報なのか全く判断することができません。今回は私の書評は差し控えて、もしご興味をお持ちの方は、下記のURLから「Deep Tech」 とはなにか、また現在どんな活動がされているのかご確認いただければ幸いです。またこういう流れもあるんだなという情報の一端として知っておかれるのはいかがでしょうか。

私もこれを機に、現在またこれからの動向にも注目しようと思います。

それでは、皆さまもよい週末を!

<参考URL>

Deep Tech(ディープテック)とは 1分でわかるキーワード – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース』

『ディープテックは本当にビジネスチャンスを生むのか?』

https://ferret-plus.com/14335

『すべてがつながる未来への立役者。DeepTech 2022で語られた社会のDXを支える最新技術 – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース』

『【ディープテック】注目される理由や世界の事例を詳しく解説 | R-StartupStudio

https://r-startupstudio.com/detail/deeptech
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<デザイン・ドリブン・イノベーション>

みなさん、こんばんは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

私は、昔から「小さくて大事なことは悩まないけど、そのくせ大きくてどうでもいいことで悩むよね」などと言われることがあります。

「いやいや、そんなことはないだろう」と、自分では自覚していなかったのですが、ブログを始めてみて、確かにそういうところもあるかもしれないと思い始めています。

「大きなこと」、そう自分でも笑ってしまうのですが小さいころからなぜか、ちょっとやそっとでは解けないような難題にチャレンジしてみたいという関心がありました。

小学生の時、先生が読み聞かせてくれた「野口英世」の伝記に影響を受けたことが大きいかもしれません。それから何冊も彼に関する本を読みました。

でも、この頃はまずは自分の足元からしっかりと固めないといけないよなと反省しています。冒頭の指摘をしてくれたのは、今思うと対局観で物事を見ることができる人たちです。

俯瞰力も大事だとは思いますが、細かいことにもきちんと気が付けることも大事ですよね。

受験勉強でもそれは痛切に感じます。課題が増えました。というか中途半端すぎるぞ、私!

さて、今回ご紹介するのは

安西洋之・八重樫文(著)『デザインの次に来るもの これからの商品は「意味」を考える』

(株式会社インプレス, 2017年,¥1,680+税)

デザインの次に来るもの【電子書籍】[ 安西 洋之 ]
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まずはプロフィールから

安西 洋之 氏 

モバイルクルーズ株式会社代表取締役

八重樫 文 氏

立命館大学経営学部教授、立命館大学科学研究センター長

この本を最初に読んだときは、まだデザイン思考の本が書店でたくさん並んでいた、おそらくデザイン思考のブームの時期だったと記憶しています。

どこかで「デザイン思考」こそ「救世主だ」という思い込みがあり、また仕事も忙しくなりそれどころではなくなったこともあり途中で読むのをやめました。

それ以降このブログを立ち上げるぞ!と決めるまではデザイン思考のことはすっかり頭から離れていました。再びあの黄色い本を読んで、気持ちが再燃するまでは。

まず本書を読むと、EUのイノベーション政策として

「デザイン思考」「ユーザー中心デザイン」「デザイン・ドリブン・イノベーション」の

3つのアプローチを重視していることを知ることができます。

「デザイン・ドリブン・イノベーション」? 聞き慣れない言葉ですね。「デザインが主導するイノベーション」という意味だそうです。簡単にまとめると「新しい意味を生み出すこと」で、商品の価値を飛躍的に高めるというイノベーション(すなわち「意味のイノベーション」といえるのではないかと思います。

そして、「デザイン思考」はイノベーションの万能薬ではないのか?という疑問が提示されています。

イノベーションには革新性の度合いにより、「斬新的」と「急進的」の二つに分けられるといいます。(本書p.122)

デザイン思考は、前者の「斬新的なイノベーション」すなわち、いままでに存在するものやことの使い勝手や性能、あり方を改善することで、変化を緩やかにするイノベーションに

向いていると捉えられるようです。(本書より)

また、「デザイン思考」に足りないものは何か?

それは、「問題の領域設定」を誰がどのように行うかが課題であり、弱点であると指摘しています。

そこでデザイン思考の課題を補強し、企業が新しく柔軟な考え方を得るためにアートの力を利用するという試みも紹介されています。「アーティスティック・イノベーション」という試みだそうです。(P.186)

今回改めて最後まで本書を読んでみて、そうですね、モヤモヤした気持ちで読み終わりました。「デザイン思考の次に来るもの」それは何か?まだ明確な答えは見つかっていません。

次回でデザイン思考もひとまずゴールといたします。それでも「デザイン思考は有効なのか?」確かめてみたいと思います。

今週は【休日企画】の投稿も予定しています。もしよければお立ち寄りください。 それでは、また。

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<アート思考とイノベーション>

みなさん、こんにちは。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

今回ご紹介する本を読みながら、こんな名言を思い出しました。

常識とは

18歳までに身につけた

偏見のコレクションのことを言う

       アルベルト・アインシュタイン

もちろん時と場合によりますが。

今回ご紹介するのは

秋元雄史(著)『Art Thinking アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法』

(プレジデント社, 2019年, 1,700円+税)

この本も、インパクトのある表紙でした。先日教えてもらった本屋さんには気になる本がたくさんありました。最近アマゾンでお勧めしていて、買おうかどうしようか迷っていた本も全てそろっていたのですが、もう「君に決めた!」という感じでこの本を購入することにしました。決め手は「イノベーション」について書かれていたからです。

まずはプロフィールから

秋元雄史 氏

東京藝術大学美術館長・教授、および練馬区立美術館館長

「ベネッセアートサイト直島」の主担当となる

そもそも、「アート」は「ビジネス」に役立つのか?

「シリコンアレーなどで新たなビジネスを生み出してきた、成功を遂げてきた人々の多くがアートの素養を持ち合わせていた」(本文より)という事実からも、無関係ではないように思います。

アップルの創業者スティーブ・ジョブズは、文字のアート、カリグラフィーを学び、旧米ヤフーの元CEO、マリッサ・メイヤーが画家である母親に影響を受け、Airbnb(エアービーアンドビー)の創業者の一人、ジョー・ゲビアンも学生時代にアートを勉強していた(本文より)など、いくつも事例があるようです。

一般人の私も、自宅に物置部屋兼書斎のような空間があり、壁に現代アート作品(ポスターやポストカード)を貼り、閉じられた空間でクリエーティブな発想ができるようにしています。雰囲気だけですが。

そもそも、「デザイン思考」と「アート思考」はどう違うのでしょう?

著者はこう説明しています。

「デザイン思考がユーザーにとって最適解を得るための「課題解決」型の思考であるのに対して、アート思考は「そもそも何が課題なのか」という問題をつくり出し、「何が問題なのか」といった問いから始めるのが、特徴です。」(本書p.26)

そして、シアトル在住の日系アメリカ人のグラフィックデザイナーで、デザインとテクノロジーの融合を追求する第一人者、ジョン・マエダがある雑誌のインタビューに答えたときの

言葉を引用して

「いま、イノベーションはデザイン以外のところで生じる必要がある。それを簡単にいうと、

アートの世界ということになる。・・・・」と。(本書p.27)

アートにおける「正しい問いを立てること」の重要性が、イノベーションと関係しているのでしょうか。

そして、「アート思考」がイノベーションに役に立つヒントを持っているとしたら、もう一つは「思考の飛躍」ではないかと、本書を読んで思いました。

いずれにしても、書物を読んだだけでは「アート思考」を身に着けることは困難でしょう。

まずは書物から知識を得て、あとは「アート」に触れる機会を増やし、目を肥やしていくことなのかなと思いました。

本書にもアートの鑑賞法が紹介されていましたが、私は下記の本もお勧めします。

「こんな美術の授業を受けたかった!」「アートって面白い!」そう思える本だと思います。

松永幸歩 『13歳からのアート思考 -「自分だけの答え」が見つかる』

(ダイヤモンド社, 2020年,¥1800+税)

今日はここまでにいたします。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

「直島」行ってみたいですね。

次回は再びデザイン思考です。デザイン思考も残すところあと2冊です。

もう一息。頑張ります。

それでは、よい週末を!

(休日企画はお休みいたします)

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<ISSUE  DRIVEN>

みなさん、こんにちは。

今日もご訪問いただき、ありがとうございます。

「一流」という言葉は、最高の褒め言葉だと思います。

私も様々な分野のプロフェッショナルの方で「一流」と称えられる方々に憧れます。

生まれつきの才能だけでなく、常に努力を惜しまない人をいうのではないかと思います。

この方も超一流の二刀流(いえ、多刀流)の方だと思います。

安宅 和人(著)『イシューからはじめよう – 知的生産の「シンプルな本質」』

(英治出版, 2021年, ¥1,800+税)

イシューからはじめよーー知的生産の「シンプルな本質」【電子書籍】[ 安宅和人 ]
価格:1,980円 (2023/8/6時点) 楽天で購入

安宅和人 氏

東京大学大学院生物化学専攻(修士号)

マッキンゼー・アンド・カンパニー入社

4年半の勤務後にイェール大学・脳神経科学プログラムに入学

2008年よりヤフー株式会社(現在ヤフーCSO)

『シン・二ホン』の著者でもある

この本は、書店でよく見かけるベストセラーの本ですよね。

私も実は、このブログを始める前に購入して一度読みました。

当時「イシュー」について全くわかっていなかったこともあり、途中から理解できなくなり、消化不良のまま読み終わりました。

ロジカルシンキングの本を探していて、この本を見つけたのですが、今思うといきなり頂上からスタートしようとしていたものかもしれません。

今回改めて読み直してみて、ロジカルシンキングの総仕上げに位置づけられる本ではないかと思い、このブログのロジカルシンキングのいったんのゴールの本として選びました。

このブログでご紹介した本をお読みいただいた方には、きっと理解しやすいのではないかと思います。そして、これまでとらえづらかった「イシュー」について、見極め方を学ぶことができると思います。また、「ストーリーライン」ってどう書くの?という疑問も解消するはずです。

それではここで、これまで読んできたロジカルシンキングの本をもとに問題解決の流れを、私なりに整理してみます。

モレや誤りがあるかもしれませんが、皆さまでご確認、修正していただければ幸いです。

<ロジカルシンキングによる問題解決の流れ>

1.要因を洗い出すマインドマップ(外在化)
MECE(情報の分類)
2.課題を絞るWhy so ?
So what ?
3.イシュー(真の問題)を見極める
4.仮説を立てるストーリーライン
5.仮説を検証する
6.アウトプットにまとめる      ピラミッドストラクチャー

本書はイシューの見極め方から、導き出される「解の質」の高め方まで教授しています。

これで、必要な知識は一通りそろったといえるのではないでしょうか?

本書でも書かれていましたが、あとは実践あるのみ。本を読むだけでは当然限界があるわけで、現場で情報収集したり、ベテランの方々、外部の方々からご意見をいただいたりしながら「ヒント」を探すことも大事だとのことでした。

この本を読んで、少し「早くこの方法を使ってみたいな」という気持ちになっています。

著者は研究者でもありコンサルタントでもあるので、論理的であり、科学者としての立場からの視点や切り口も独特だと感じました。ビジネスパーソンにも研究者にも読みやすい本ではないでしょうか。論文を書くヒントにもなりそうです。

それでは、ロジカルシンキングの方はいったんこれで締めくくります。

デザイン思考の方もそろそろ仕上げに入りたいところですが、その前に「アート思考」の本もチェックしておきたいと思います。

当初は、「アート思考」を取り扱う予定にはしていなかったのですが、最近とても気になります。次は「アート」かなと。

いづれにしても、あと少しで「イノベーション」に入る予定です。徐々に本も集まっています。まだ構成は考え中です。時間をかけてゆっくり設計図を考えていきます。

それでは、またよろしくお願いします。

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